チーム情報

-昭和48年- (1973年)

山内[イメージ]
▲巨人から移籍の山内は20勝を挙げて 南海のエースとなった
野村[イメージ]
▲四番打者、捕手、監督兼任の重責を全 うしてMVPに輝いた南海・野村
トレード組の活躍で前期は南海 後期は戦力充実の阪急が独走
南海は、野村克也監督兼捕手が江本孟紀西岡三四郎のニ本柱に巨人から移籍の松原明夫山内新一とリリーフ・佐藤道郎の投手陣を、巧みに操縦して前期優勝を勝ち取った。中でも新戦力の山内が開幕戦直後にリリーフで幸運な2勝を挙げるや、6戦目に先発に起用した。期待に応えた山内が完封勝ちして自身をつけると、即先発の一角に据えた。波に乗った山内は6月6日に10勝パ・リーグ一番乗りし、同13日の近鉄戦で1安打1四球で完封勝利してロッテを振り切って単独首位に立つ立て役者になった。チームはそのまま首位を突っ走って前期の優勝。この年から採用されたプレーオフへの出場権を確保した。
野村戦術は地元大阪球場で圧倒的に勝つこと、投手に完投させることだった。大阪球場では山内江本西岡松原を惜しげもなく動員して勢いのあった大平洋に連勝、近鉄に3連勝の5連勝をやってのけた。また、投げさせた以上辛抱強くリードして完投ペースにもっていった。前期38勝のうち完投勝ちが実に23試合、うち完封が13試合もあった。
前期優勝してプレーオフ進出権を確保した後期戦は、出足に阪急に叩かれると、意図的であったかどうか「死んだふり」。投手陣が揃って半不調。代わって門田博ジョーンズが長打力を披露したが、後期の9月中旬まだ5位をうろちょろ。
ことに阪急には13戦1分け12敗という徹底さ。阪急の優勝が決まった後に日拓に4連勝して日拓と同率の3位になった。いかにもタヌキの野村監督だった。
プレーオフ南海VS阪急
10月19日、「阪急断然有利」の声の中、南海の本拠地・大阪球場で第1戦の火ぶたが切られた。南海は西岡、阪急は米田が先発した。先制したのは南海だった。2回ニ死ニ、三塁から相羽欣厚が右前に落として1点。南海はこれを守り切って、まず南海が勝った。
第2戦は、打って変わって打撃戦となった。南海が3発打てば、阪急も2ホームランを打ち返して9対7で逆転勝ちして1勝1敗に戻した。
第3戦からは場所を移して阪急のホームグラウンド西宮球場。ますます「阪急有利」の呼び声が高かった。ところが、南海の先発江本が緩急を織り交ぜた巧みな投球で阪急猛打戦を翻弄して6対3で快勝。野村、ジョーンズが打って勝った。南海王手である。
第4戦は、試合開始と同時に阪急の打線が大爆発して、アッという間に得点を重ねて13対1と南海を圧倒した。2勝2敗、大いに盛り上がって最終戦にもつれ込んだ。
第5戦、両軍必死の攻防戦8回まで0対0の緊迫した好ゲーム。9回の表の土壇場でスミスが右翼席にぶち込んだ。続く広瀬叔功がこれも左翼スタンドに打ち込んだ。南海が優勝フラッグに片手をかけた。 9回裏すでにニ死。しかし阪急はそこから粘った。一番手の代打・当銀秀崇が南海締めくくりの佐藤から、驚くなかれ右翼スタンドへホームランを打ち込んだのだ。1点差。わき上がる西宮球場。阪急はここぞと二番手の代打・高井を送り出した。南海は第3戦のヒーロー・江本にピッチャーを代えた。江本は全球ストレート勝負に出て、打ち気満々な高井保弘を三振に打ち取った。 こうして南海が7年ぶり、野村監督は初の年度優勝を飾った。

■パ・リーグ成績
順位 チーム 試合 勝利 敗北 引分 勝率 前期順位 後期順位 打率 防御率 本塁打
1 南海 130 68 58 4 .540 1 3 .260 3.35 113
2 阪急 130 77 48 5 .616 3 1 .270 3.30 151
3 ロッテ 130 70 49 11 .588 2 2 .264 3.43 139
4 太平洋 130 59 64 7 .480 4 5 .239 3.58 116
5 日拓 130 55 69 6 .444 5 3 .254 3.97 133
6 近鉄 130 42 83 5 .336 6 6 .237 3.83 113

江本[イメージ]
▲第1戦、江本は粘りのピッチングで
完投勝利
グランド整備をする南海の選手達[イメージ]
▲第2戦は雨でグラウンド不良、
南海の選手が自ら整備をする
  南海は、パ・リーグがプレーオフを始めて初の優勝チーム。野村克也監督にとっても初に日本シリーズで、監督兼捕手兼四番打者の率いるもとまりに特徴があった。第1戦で巨人のホームラン攻勢にあいながら、ワンチャンスで粘り勝った。パワーのなさは隠せなかった。南海にとっての重大な分岐点は第2戦の7回。無死満塁でパンチ力のあるスミスを代打に送ったが、外野フライで一応の役目をはたしたものの、巨人をダウンさせるまではできなかった力不足が大きい。
こじんまりと機動力で攻めて、しっかり守るはずの南海が、第4戦で立て続けにタイムリーエラーしたのはいただけない。
■日本シリーズ成績
第1戦 南海1勝 10月27日 大阪27,027人
巨人 0 2 0 0 0 0 0 1 0 3
南海 0 0 1 0 0 0 0 3 x 4
高橋一● 江本○ (本)土井 森(巨)
第2戦 1勝1負 10月28日 大阪28,135人
巨人 0 0 0 1 0 1 0 0 0  
南海 0 1 0 0 0 0 1 0 0  
  0 1 3
0 0 2
倉田○ 山内● (本)上田(巨)
第3戦 巨2勝1敗 10月30日 後楽園34,713人
南海 0 0 0 0 0 0 1 0 1 2
巨人 0 0 2 0 1 2 1 2 x 8
松原● 堀内○ (本)門田博(南) 堀内(2)(巨)
第4戦 巨3勝1敗 10月31日 後楽園38,270人
南海 0 0 0 0 0 2 0 0 0 2
巨人 3 1 0 0 1 0 0 1 x 6
江本● 高橋一○ (本)王(巨)
第5戦 巨4勝1敗 11月01日 後楽園37,671人
南海 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1
巨人 2 0 1 0 0 0 2 0 x 5
西岡● 倉田○ (本)王(巨)

協力:(株)ベースボールマガジン社