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| 9回裏2死、左越えに同点本塁打を放つ田上選手 |
恐怖の9番弾がチームを救った。昨季26本塁打でチームトップだった田上秀則選手が土壇場で同点弾を放った。1点を追う9回裏2死から左翼席へオープン戦1号をたたき込んだ。昨季のベストナイン捕手は強力打線の中で今季は9番に座るぜいたくなオーダー。30本塁打を目標に掲げる9番打者が、ライバルを震え上がらせる。
どんな1発より相手を震い上がらせた。1点リードした9回裏2死で、打者は9番。楽天は勝利を確信したに違いない。しかし、今季のソフトバンク相手にそうはいかない。9番に昨季のチーム本塁打王、田上選手が待ちかまえているのだ。
カウント1-0からの2球目。楽天小山投手の投じた131キロの低めのスライダーを豪快に振り抜いた。打球はあっという間に左翼席へ。恐怖の9番打者が土壇場で同点劇を演出した。
田上選手「打ったことよりも、9回に攝津で1点を取られたことの方が大きい。9回の1点はかなり重たいですから…。」
打者としての喜びの前に捕手として反省した。豪快な「今季1号」にも、まったく笑顔はなかった。反省だけなら誰でもできるが、恐怖の9番打者は違う。「1点を取らないと負けなので。ひきずっていられない」。9回に1点を勝ち越された自分のリードを反省しながらも、それをバットで取り返すことだけに集中していた。
ここ1番の集中力と、勝負へのこだわりは並大抵ではない。春季キャンプ終盤の休日。リフレッシュのため宮崎市内で趣味のダーツをやりに出かけた。そこで巨人の守護神クルーンとばったり出くわした。リハビリ中の相手を気づかいながらも「勝負しよう」と提案。腕前を誇る相手に2連勝した。「何でも勝負事は勝たないと」。同点で終わったこの日の試合後に笑顔がないのも当然だった。
勝利のため、正捕手としての自覚は強い。ブルペンや打撃練習では若手投手にあえて厳しい言葉をかけ続ける。「点を取られなければ勝負に負けることはない」。豪快な打撃に目がいきがちだが、このオフは自身の守備面を徹底的に鍛えた。盗塁阻止率(昨季2割6分2厘)のアップを目指し、母校の九共大の体操競技部に出向いて送球時に使う上腕三頭筋を鍛えた。
秋山幸二監督も「1発出てよかったね。(本塁打を)見せてもらう、スカッとするよ」と手放しで喜んだ。スカっとしただけの喜びではない。目標に掲げる30本塁打&100打点もきっちり実現しそうな男が、9番に座る打線。この日の同点劇に、ホークス打線の底力が詰まっていた。