2009/07/22 (水)

馬原投手、球団新記録となる通算118セーブを達成

楽天の追撃を振り切った馬原投手は田上選手(右)と勝利のタッチを交わす
楽天の追撃を振り切った馬原投手は田上選手(右)と勝利のタッチを交わす
鷹の守護神が金字塔を打ち立てた。馬原孝浩投手が楽天戦の9回に3番手で登板。1回2安打1失点ながら今季18セーブ(S)目を挙げ、球団新記録となる通算118セーブを達成した。05年途中に先発から転向し、足がけ5年で積み重ねた。夏休み恒例の「鷹の祭典」に花を添えたが、V奪回に欠かせない右腕の仕事はまだまだ続く。

馬原投手らしい幕切れだ。9回に1失点ながら、今季18S。最後の鉄平選手には5球すべて意地のフォークで打ち取った。快挙の瞬間も鉄の仮面は変わらなければ、ガッツポーズもない。笑顔で駆け寄る仲間とのハイタッチに少しだけ口元を緩めた。118セーブの球団記録達成を告げる大型ビジョンに目もくれず、いつも通りベンチ裏へと姿を消した。

99~02年に活躍したペドラザ投手の持つ球団記録は117セーブ。馬原投手が九共大時代にテレビ画面の向こうで見た右腕を抜いた。試合後、時間の経過とともに実感がわき上がった。「積み重ねてきたものを福岡で達成できたことを誇りに思うし、うれしい」。05年に当時の王監督(現会長)から右打者のアウトローへの制球を評価され、先発から転向。ストッパーの道を歩み出し、ここまで来た。

2年前に最多セーブ(38)を獲得し、WBC日本代表でも連覇に貢献。いくつもの表彰盾やメダルを手にしてきたが、自宅には一切ない。熊本の実家に保管している。「僕は脇役的な存在。メダルは自分の力で取ったものじゃないから。抑えの仕事は野手みたいに毎試合は貢献できない」。手元にはオフに参加したバッテリーゴルフコンペで勝ち取ったトロフィーのみ。「あれは自分の力だけですから」。

全身の神経がピリピリする勝ちゲームの最終回を任される守護神。ただ先発、中継ぎがいてこその仕事と分かっているから、記録や表彰に興味はない。「S」マークよりほしいものがある。「仲間からの信頼です。周りは常に行動を見ています」。好きな言葉は信頼で、嫌いなのは妥協。勝っても負けても感情を押し殺し、試合後はトレーニングとケアをし、翌日に備える姿をナインは知っている。

負けた時のストレス発散法は「やられた相手にやり返す。嫌な性格でしょ」とボソッ。腹の底の煮えたぎる思いを悟られず、腕を振る。遠征先でのオフはデパートの総菜屋をのぞくなど、グラウンド外では穏やかな性格。鉄の仮面は冷徹な守護神の仕事着なのである。

同級生からもらった比叡山のお守りの数珠を左手首に巻き、この日も最終回のマウンドを守り通した。球場を去るころには「通過点と思う。今振り返ることはしないし、オフにすればいい」とまた冷静な馬原投手に戻った。球団史上ただ1人、5年連続2ケタセーブを挙げる男。マウンドで鉄の仮面を外すのは優勝の瞬間と決めている。
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(提供:西部日刊スポーツ新聞社

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