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1回裏2死満塁、長谷川選手は右前に2点適時打を放つ |
試合前に交流戦V3が消えたホークスだったが、意地の3連勝だ。1回2死満塁で長谷川勇也選手が右前2点タイムリー。不振による2軍降格から復帰後5試合で4戦連続打点だ。先制打の松中信彦選手は7日の阪神戦での右ひざ自打球後、3試合連続安打で2試合連続タイムリー。意地が集約された初回の巨人東野撃ちだった。
狙った「獲物」を長谷川選手がひと振りでしとめた。1回2死満塁。マウンドにはセ・リーグのハーラートップ8勝を誇る巨人東野投手がいた。連続四球の直後。初球の内角低めの難しい直球を迷わずとらえた。ライナー性の打球が右翼手の前で弾んだ。打球の行方を見ながら「早く落ちてくれ」と心の中で願いながら一塁へ駆け抜けた。2者が生還。1点からさらにリードを広げ、チームを勢いづけた。
「積極的に打ちにいったのが良かった。打つべき球が来たので自然にバットが出ました」。7日の阪神戦から4試合連続安打、打点をマーク。チームも3勝1分けと、負けがついていない。若きスラッガーの存在は、小久保裕紀選手を欠くホークス打線の確かな力になっている。
どん底からはい上がった。昨年は打率3割1分2厘をマークした男がシーズン序盤から打撃不振にあえいだ。昨年9戦目から守り続けてきたスタメンを外され、5月22日にとうとう1軍登録を抹消された。秋山幸二監督の直接指導も実を結ばず「あのときはちぐはぐだった。どうしようもない状態でした」と振り返った。
約2週間の2軍生活では原点に返って、ひたすらバットを振り続けた。振り込みながら自分の納得いくスイングを見つけ、体にたたきこんだ。「納得いく形を目標にしてやってきました。ようやくバットが出るようになってきた」。以前なら空振りを取られていた内角球もうまくとらえて安打にすることができた。
2軍落ちの悔しさは忘れていない。まだ完全復活とはいかないが、上昇の手応えはある。「やっと納得いくスイングが試合で出せるようになりました。次は正確にバットが出せるようにしたい。明日がまた楽しみです」。交流戦3連覇という目標こそ消えたが、1つ壁を乗り越えた長谷川選手が、再開するリーグ戦への大きな力になる。