 |
9回抑えでマウンドに上がった馬原投手の頭をポンとたたき笑顔で出迎える和田投手 |
 |
先発の和田投手 |
和田毅投手が巨人打線を黙らせて5連勝だ。直球がさえ、7回を4安打無失点。今季9勝目、同交流戦5勝目、交流戦通算18勝目はいずれも12球団単独トップとなった。チームは史上初の交流戦3連覇を逃したが、1カ月ぶりの3連勝で今季最多の貯金10とした。
細かく震える左足を踏ん張った。歯を食いしばり、和田投手が左腕を振り抜く。5回から軸足がつっていた。「何とかしのぎました」。意地を込めた白球で、巨人打線をねじ伏せていく。7回2死から四球を出すと、高山郁夫投手コーチがマウンドに状態を確認に来たが、平然と「全然大丈夫です。次の回もいけます」と言い切った。
最後までマウンドにいたかった。直球に自信があったからだ。最速は142km/hでも、球速以上のキレでねじ伏せた。直球で安打を許したのは、左足に異変が起きていた6回の小笠原選手だけ。「2回から『これだ』という真っすぐが投げられた」。スコアボードに7個の「0」を並べ、後ろ髪を引かれながらマウンドを降りた。今季初完封を逃し「足さえつらなければ」と苦笑いしたのは一瞬だけ。勝利のハイタッチに加わると、端正な顔に笑みが満ちた。
前夜はオーティズ選手の誕生日パーティーに顔を出すなど、登板前から余裕があった。試合直前のストレッチ中にオリックスが勝って交流戦V3が消滅した"悲報"を聞いたが「リーグ優勝がなくなったわけじゃない」と切り替えた。昨年5月28日に7失点KOを喫した日本一軍団に、きっちりとリベンジを果たした。今季最多の貯金10とした秋山幸二監督も「ずっといい状態にある。期待に応えてくれた」と目を細めた。
今季9勝目、同交流戦5勝目、交流戦通算18勝目はいずれも12球団単独トップに立った。だが、まだ満足はない。自身の記録にはあまり興味を示さないが、スポーツ紙などの投手成績表で、真っ先に視線が向くのは「防御率」の欄だという。今季はまだ3点台。「やっぱり点を取られたくない。もっと上にいかないと」。向上心が尽きることはない。
6月はこれでプロ入りから通算17勝3敗となった。5月14連勝中の杉内俊哉投手が「ミスター・メイ」なら、和田投手は「ミスター・ジューン」だ。交流戦5戦5勝の左腕は、お立ち台で「リーグ戦でもしっかり勝ちたい」と誓った。頼れる背番号21が、先頭に立ってチームの6月戦線を引っ張っていく。