2010/06/25 (金)

山田投手、リーグ初の快挙で初勝利

プロ初勝利を飾り、お立ち台で松田選手(左)に頭をなでられ笑顔を見せる山田投手
プロ初勝利を飾り、お立ち台で松田選手(左)に頭をなでられ笑顔を見せる山田投手
プロ初勝利を挙げた山田投手
プロ初勝利を挙げた山田投手
プロ初勝利を飾り、受け取ったウイニングボールを大事そうにポケットにしまう山田投手
プロ初勝利を飾り、受け取ったウイニングボールを大事そうにポケットにしまう山田投手
救世主の登場だ。育成枠入団からはい上がった山田大樹投手が、プロ3試合目で初勝利を飾った。5連勝中だった日本ハム打線を相手に8回1/3を6安打1失点。あと2人で完封は逃したが、8回まで二塁も踏ませない快投で、パ・リーグ初の育成出身勝利投手になった。秋山幸二監督就任以来ワーストの連敗を6で止める大きな1勝になった。

小走りでマウンドを降りた山田投手は帽子を脱ぎ、188cmの長身を折り曲げてベンチと観客席へ一礼した。9回1死、134球で力尽きたが、そこまで6安打1失点。胸の内には、完封と完投を逃した小さな悔しさと大きな充実感があった。「最高です。ホッとしました」。最後を締めた攝津正投手から受け取ったウイニングボールは、ズシリと重く感じた。

攻めた。恵まれた体格を存分に生かし、直球を投げ下ろす。25個のアウトのうち14個(併殺含む)が内野ゴロ。最速は142km/hでも、球速以上にキレで打球を殺した。「強い気持ちで臨めた」。6連敗で沈んでいたチームも奮い立たせた。

育成出身投手の勝利はリーグ初の快挙。「ウチにもいっぱい育成選手がいる。元気やヤル気のもとになれたら」。かつては「121」の背番号を恥ずかしく思ったこともあった。前回18日西武戦の登板前には、新聞で気になる記事に目がとまった。相手先発の涌井投手が「気が抜けちゃう。相手が相手だから」と屈辱的な発言。「あのクラスに言われても仕方ない」。冷静に受け止めたつもりだったが、試合では4失点KOでプロ初黒星を喫した。胸に秘めた悔しさは、この日のマウンドにぶつけた。

負ければローテ落ちの逆境で見事に結果を出した。「連敗を止められたのは大きい」。秋山監督も「本当にいい投球をした」と目を細めた。前日まで6試合連続で4失点以上を喫していた先発陣の悪循環も止めた。チームの“底辺”から、もはや立派な先発投手の一角となった。

育成時代の汗がしみ込んだ3ケタ背番号のユニホームは、今は茨城・つくば市の実家に眠っている。「もうどこにあるかも分かりませんけど」。過去を振り返ることはない。この日に手にした記念の1球も、両親のもとへ送るつもりだ。お立ち台で声も高らかに誓った。「やっと1勝できました。『次の試合も勝ちたい』『その次の試合も勝ちたい』という気持ちでやっていきたい」。視線の先にあるのは輝ける未来だけ。サクセスストーリーは、まだ始まったばかりだ。
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(提供:日刊スポーツ新聞西日本

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