2010/07/15 (木)

小久保選手、「完全復活」復帰後初アーチ

4回表無死、左越えに先制ソロ本塁打を放つ小久保選手
4回表無死、左越えに先制ソロ本塁打を放つ小久保選手
西戸崎合宿所でリハビリ中の6月12日、右胸と左胸の筋肉の張り方を鏡でチェックする小久保選手
西戸崎合宿所でリハビリ中の6月12日、右胸と左胸の筋肉の張り方を鏡でチェックする小久保選手
小久保裕紀選手が完全復活した。4番に復帰した楽天14回戦の2打席目、左翼スタンドへ左手1本で決勝11号ソロを運んだ。引退の危機に追い込まれていた左大胸筋と左三頭筋(上腕後部)筋力低下からの豪快な復帰後初アーチだった。チームは主将の1発で、3位をキープ。追撃への号砲だ。

離脱の一因となった左手だけで運んだ。これぞ完全復活だ。小久保選手の復帰後初アーチは、4回に出た。沈む変化球にタイミングがずれた。だが、最後は右手を離し、左手の強烈なリストの返しで左翼席へ放物線を描いた。先制11号ソロ。感慨はあったはずだが、ベース1周で笑顔はなかった。

小久保選手「左手1本だけですくった。よく飛んでくれた。他の打席の方が芯食っていた。(野手の)正面にいって悔しいね。」

チームを背負う主将として、心から笑えたのは試合後だった。そのときは、安どの思いも入り交じっていたに違いない。引退の縁から帰ってきたのだから。

6月2日に戦列を離れた。首痛で神経が圧迫され、左大胸筋と左三頭筋に力が入らなくなった。異変に気づいたのは、5月中旬。左ひじをついて横になった姿勢から、上体だけで起き上がることもできなかった。病院での数値測定で左側の胸と腕の筋力値は、右側に比べ5分の1だった。腕立て伏せが1回もできなかった。

6月11日に、その言葉を口にした。上半身のトレーニングがうまくいかなかった。「このままだったら引退するわ。潔く」。これまで味わったケガと種類が違っていた。98年右肩関節唇損傷、03年右ひざ前十字じん帯断裂、06年右手首骨折など数々の傷を負ったが、時が経てば筋力は戻る確信があった。しかし、今回ばかりは神経伝達をめぐる故障。その確証がなかった。

転機は6月14日に訪れた。風水で北西の方角がいいと聞き、博多港から壱岐に向かい、温泉につかった翌日だった。病院の検査で筋力値が上昇していた。腕立て伏せをやった。「3回できたわ。3回。たった3回やけどな」。道が開けた。

1ヶ月のブランクを経て、7月10日に1軍昇格。ただ、チームの低調にかっとうは続いていた。原因は不明も、6月中旬に発症したじんましんに今でも悩まされている。戦列復帰4戦目で、50日ぶり4番を託された。いきなりチームのBクラス転落を救う1発だ。

小久保選手「みんな個々が、人頼みじゃなく、俺が(流れを)変えるんだと思わないと、この混パは抜け出せない。」

昨季CSで敗れ号泣したKスタ宮城で、今季1号と復帰弾をマーク。もう、涙も、苦しみも、いらない。背番号9が、優勝の2文字だけに突き進む。
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(提供:日刊スポーツ新聞西日本

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