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9回表2死二塁、草野選手を二ゴロに打ち取りガッツポーズする馬原投手 |
最高の凱旋だ!馬原孝浩投手が地元熊本でのプロ初登板で今季20セーブ目を挙げた。史上10人目となる通算150セーブにも王手。緊張感から解放されると、熊本の夜空へと大きく右手を挙げて、勝利のハイタッチをかわした。
「公式戦は初めてなのでうれしかったけど、1点差なのであまりそういうことを考える余裕はなかった」
わずか9球で故郷に錦を飾った。1点リードの9回に登板。「馬原」の名前がコールされると、黄色に染まった観客席が波立った。鉄平選手の右前打から2死二塁のピンチを招いたが、草野選手を初球のフォークで二ゴロに仕留めて乗り切った。
待望の登板だった。藤崎台では熊本市立高(現必由館高)時代に投げて以来、マウンドに登ったのは05年2月27日のオープン戦(西武戦)だけ。07年は雨天中止、08年は右肩故障で離脱中、昨年はチームが敗戦と、公式戦では縁がなかった。球界を代表するクローザーとなった今でも毎年、夏の県大会予選前には母校へ用具を差し入れするなど、故郷への思いは忘れていない。高3の夏は県大会8強で夢破れたが、11年後の夏に思い出の地で“頂点”へ立つ瞬間を味わった。
通算149セーブ目で、大台にもあと1歩と迫った。「興味はまったくないですね。チームが勝てばそれでいい。通過点というか、継続して普段通りやるだけ」。個人記録など眼中にない。ホークスが誇る守護神の視線の先には、チーム全員でつかむ頂点しか見えていない。