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7回裏2死一、二塁、中越えに逆転の適時三塁打を放ち、ベース上でガッツポーズする本多選手 |
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楽天を逆転で破って首位に浮上し、熊本のファンに応える秋山監督(右端)らホークスの選手たち |
8連勝だ!首位だ!ホークスが3年ぶりの8連勝で5月1日以来となる首位に立った。2点を追う7回裏。楽天エース岩隈投手を攻め立て1点差とし、2死一、二塁から2番本多雄一選手が中堅越えの2点適時三塁打を放ち逆転に成功。秋山幸二監督の故郷熊本では実に球団59年ぶりとなる白星で首位奪取。7年ぶりVへ向けて、後半戦を最高の形でスタートした。
首位奪取への思いを乗せた打球がグングン、グングン伸びる。1点を追う7回裏2死一、二塁。楽天岩隈投手の直球をとらえた本多選手の打球は、中堅へ飛んだ。中堅手聖沢選手が、捕球体勢に入り足を止めた。だが打球は予想以上に伸び、差し出したグラブのわずか上を通過した。フェンス際まで転々とする間に、2走者が一気に生還し逆転だ!三塁ベースに到達した本多選手は、両手で何度もガッツポーズをつくった。
本多選手「何も考えず、来た球を強くたたくことだけ考えた。相手のミスだけど、思い切って振った結果」
クールな男が興奮気味に打席を振り返るのも無理はない。この1打で、チームは3年ぶりの8連勝。西武が敗れたため、後半戦開幕ゲームで5月1日以来の首位浮上を決めた。「西武は関係ないんで。自分たちがやるだけですから」。興奮はしても、本多選手は浮かれずに引き締めた。
まだ見ぬ優勝の2文字のためだけに、全身全霊をかけプレーする。プロ5年目の今季は、レギュラーの自覚から体調管理に時間とお金を惜しまない。疲労軽減のため自宅ベッドを買い替え、遠征先に自宅仕様と同じ枕を持ち運ぶ。さらには、脳神経の伝達をスムーズにすると言われる金が溶け込んだ水を愛飲。「夏バテなんかないです」と、リーグトップタイの40盗塁でチームをグイグイ引っ張る。自慢の足だけでなく、バットでも値千金の仕事を果たした。
8連勝は実に3年ぶり。87日ぶりにリーグ首位に立った秋山監督も、最高の形で故郷熊本に錦を飾ることになった。ソフトバンクになってから熊本での公式戦は、3年連続3度目(07年は雨天中止)。ダイエー、南海時代も含めると今回で7試合目だが、公式戦勝利は51年8月12日の東急戦までさかのぼる。昨季は4失策で敗戦。何が何でも勝たなければいけない試合で、大歓声を送ってくれた1万4,659人のファンに59年ぶりの白星を届けた。
後半戦スタートの大事な1戦で、貯金を今季最多の12とした。「首位?まあ、まだまだでしょ」。故郷の心地よい夜風を浴びながら、かぶとの緒を締めた指揮官の目には、7年ぶりのVしか見えていない。