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通算150セーブを飾った馬原投手(左)はナインに祝福を受ける |
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通算150セーブを飾った馬原投手を祝福するホークスビジョン |
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9回を抑え通算150セーブ目を挙げた馬原投手 |
まさに最強ストッパーだ。馬原孝浩投手が、史上9人目の通算150セーブを達成した。楽天に2点リードの9回、三塁まで走者を進めながらもゼロ封で締めた。登板267試合目での到達は日本人最速。絶対的守護神を擁するチームは3年ぶりの9連勝を飾り、西武に入れ替わった2位ロッテとは1.5ゲーム差になった。
快挙の味は、ちょっぴりホロ苦かったのか。9連勝と通算150セーブが決まった瞬間、馬原投手は舌をペロリと出して顔をしかめた。「危なかった…。ど真ん中にいったので」。2点リードの9回2死三塁、ルイーズ選手への初球フォークはまさかの失投。百戦錬磨の右腕も冷や汗をかいたが、高く上がった打球はレフト長谷川勇也選手のグラブに収まった。クールな顔立ちに思わず苦笑いが浮かんだ。
馬原投手「日々、チームに勝ちがつけばいいと思って投げている。150という数字も通過点としか考えてない。今後も積み重ねていきたい。」
勝利への執念はすさまじい。21日の西武戦。延長10回から2イニングを投げ終えた守護神は、11回裏の攻撃中にベンチ前でキャッチボールを始めた。「行かせてください」。サヨナラ勝ちで幻となったが、08年の右肩故障後は封印していた3イニング目への突入を首脳陣へ直訴していた。
馬原投手「勝った瞬間にマウンドにいられるのがやりがい。(日本人で)一番速く達成できたのはうれしい。今のポジションで肩が飛ぶ(壊れる)まで投げたい。」
先発でペース配分に苦しんでいた05年序盤、2軍調整中の雁の巣でリリーフへの転向を伝えられた。同年6月4日の巨人戦で初セーブ。「あそこから始まった。(先発でも)全力で投げようと思っていたので、配置転換がピシャリとはまった」。新天地で輝きを増し、今や球界を代表するクローザーとなった。秋山幸二監督も「たいしたもんだ」と絶賛。3年ぶりの9連勝で早々に今季の楽天戦勝ち越しと3年ぶりの7月勝ち越しを決めたチームに、花を添えた。
ウイニングボールは無造作に、ベンチにあった紙コップの上に置いた。渡す相手はもう決めてある。「僕は野球関連の物(記念品)は1個も持ってない。人にあげちゃうんで」。WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)連覇など数々の栄誉を手にしても、メダルなどは手元に残さない。だが、08年10月6日の楽天戦で通算100セーブを挙げたボールは例外。今も自宅の1室に飾られてあるという。なぜなら、最愛の妻優理子さんにプレゼントしたからだ。「今回もそうします」。絶対的守護神から優しい夫の顔に戻り、照れ笑いを浮かべた。