2010/09/24 (金)

ホークス、奇跡の逆転Vへ「王手」

1回裏無死一、二塁、投前に犠打を決めるオーティズ選手
1回裏無死一、二塁、投前に犠打を決めるオーティズ選手
ホーム最終戦を勝利で飾り、マウンド上で大喜びのソフトバンクナイン。左から森福投手、本多選手、松田選手、川崎選手、小久保選手
ホーム最終戦を勝利で飾り、マウンド上で大喜びのソフトバンクナイン。左から森福投手、本多選手、松田選手、川崎選手、小久保選手
ホーム最終戦に快勝し、笑顔で場内1周する秋山監督(右)と小久保選手らナイン
ホーム最終戦に快勝し、笑顔で場内1周する秋山監督(右)と小久保選手らナイン
ホークスが奇跡の逆転Vへ「王手」だ。今季本拠最終戦となったロッテ戦をトーナメント野球で制すと、西武が楽天に敗れ、首位奪還。優勝マジック2が点灯した。試合は初回に先制されたが、直後に打線爆発。オーティズ選手がホークス移籍後初の犠打を自発的に決めるなど打線のつなぎ役を買って出て、チームの4連勝を呼び込んだ。大混戦の10年シーズンは、25日にホークス○、西武●で7年ぶりホークスVが決定する。

奇跡のゴールが見えてきた。秋山野球のエッセンスが詰まった猛攻で逆王手につながるミラクル勝利だ。

1回だった。2点ビハインド。だが、ベンチに沈滞ムードなどない。川崎宗則選手の安打とロッテ・コーリー投手の失策で無死一、二塁。打席には24本塁打、81打点のポイントゲッター、オーティズ選手だ。サインは、もちろん「打て」。初球。オーティズ選手がバットを傾けた。送りバント。昨年途中にホークス加入してから初めての犠打。1死二、三塁として打線の猛攻を呼び込む立役者となった。

オーティズ選手「バントは自分の意思。チームの最善の結果を考えた。2人を得点圏に送ることだけ考えた。チームの勝利のためだ」。

打撃好調の4番小久保裕紀選手、5番多村仁志選手に託した助っ人の思いが実った。小久保選手が四球を選んで満塁とすると、多村選手が忠実にセンター返しでショートへの適時内野安打。6番ペタジーニ選手の押し出し四球で同点。7番松田宣浩選手の左翼越え2点適時二塁打で華麗な逆転劇だ。攻撃の手を緩めることなく、この回8点。12打者を送り込む猛攻で試合を決めた。

秋山幸二監督もオーティズ選手の自己犠牲の精神に驚くばかり。「オーティズのバント?自分でやったんだよ。サインじゃない。進めようと思ったんだろ」。指揮官が掲げるのは全員野球。紛れもなく、トーナメントを戦っているようなつなぎ野球を象徴する決断だった。

ただ、大胆さは決して忘れない。ペタジーニ選手は結果的に四球を得たが、3ボールから打って出た(ファウル)。次球もフルスイングの空振りと、重圧をかけたゆえの同点劇だった。松田選手の勝ち越し打も初球。「思い切ってバットを振った結果」(松田選手)。攻撃的な姿勢が、千金一打の底流にある。今のホークスに「待て」のサインは出ない。秋山監督の「カウントを取りに来る球が一番甘い」という信念があるからだ。

投手が点を取られても、追い上げムードがベンチで充満している。初回に井口選手に2ランを浴びた和田毅投手のもとに小久保選手が足を運んだ。「大丈夫や。初回に本塁打打たれても勝てるから」(小久保選手)。前カード西武3連戦に続き、初回失点→逆転パターンのミラクル4連勝。“赤の奇跡”もここまでいけば、止められない。この4連勝中にベンチに飾られている赤ユニフォームは、選手会長・川崎選手が札幌遠征への荷物に詰め込んだ。

この日は本拠最終戦に実数発表以降最多となる3万6,714人が来場。真っ赤に染まったスタンドの声援を背に、シーズン2位以上が確定。その時点で首位に立った。セレモニーで秋山監督は言った。

秋山監督「今やるべきことは、残り試合を全力で勝ち、福岡に帰ってくることです」。

ただ、ミラクルには、さらに続きがあった。ナイターで西武が敗戦。M2点灯だ。大混戦を制するうっちゃりVへ「逆王手」をかけてみせた。
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(提供:日刊スポーツ新聞西日本

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