熱い涙は、思いの強さの証だった。岩崎翔投手がついにやりました。5月13日（金）のライオンズ戦（ヤフードーム）で悲願のプロ初勝利を達成しました。

07年高校生ドラフト1巡目での入団。1年目には、ホークスでは6年ぶりとなる高卒1年目での先発デビューを果たしました。そこから数えること、この日が10度目の挑戦。好投しながらも勝ち運に恵まれない試合もありましたが、それでも岩崎投手は「自分の力が足りなかったから」と自身を責めました。

昨季終了後にはプエルトリコでのウインターリーグに参加して武者修行を行いました。コーチは「ハイレベルなリーグ。途中で帰されるかもしれない」と話していましたが、約2カ月でリーグ最多8勝をマーク。「調子がいい時ばかりではなかったけど、悪い時にどう抑えるかということを学べた」と成長を口にしました。

そしてこの日のマウンド。成長を示したのは、逆転を許した6回表です。4番。中村選手に13球粘られた末に四球を与え、続く打者に同点二塁打という悪循環。このまま一気に崩れそうなところでしたが「僅かな得点差なら味方打線が反撃してくれる」と信じ、内野ゴロの間に1点を失い逆転を許したものの後続の2人を簡単に打ちとりました。

「何とか逆転してほしい。心の中で祈っていました」と話した6回裏、チームの頼もしい先輩たちが大量援護。一挙6点を奪い、試合の流れを一気に引き寄せました。

岩崎投手は6回3安打2失点で降板し、マウンドを大場翔太投手に譲りました。最終回は森福允彦投手。「あと1人」になると、岩崎投手は笑顔で戦況を見つめていました。

初めて立ったお立ち台では思わず涙が溢れましたが、最後は力強い言葉で締めくくりました。

「これがスタートラインだと思う。1つ1つ積み重ねて、いずれはホークスのエースと言われるくらいのピッチャーになりたいと思います」

ヤフードームのスタンドからは、この言葉を待ってましたといわんばかりの大歓声が沸き起こりました。

また、初めてのウイニングボールは千葉の両親にプレゼントするとのこと。壁を乗り越えた21歳右腕。エースへの第一歩を今まさに踏み出しました。