ホークスは2試合連続の完封勝利。5月20日（金）のタイガース戦（ヤフードーム）、その立役者は山田大樹投手です。

27個目のアウトを取ると、左手でグラブをぽんと叩いて表情を崩しました。プロ入り初めての完投が完封勝利。「最高に嬉しいです」とお立ち台でも会心の笑顔を浮かべました。また、育成選手出身の完封はパ・リーグ史上初という快挙でした。

最大のピンチは立ち上がりでした。1死一、二塁と走者を背負って相手中軸との対戦。「リズムが作れなかったけど、野手の皆さんにも声をかけてもらって踏ん張ることができました」。また、0対0で迎えた6回表も無死二塁としましたが、細川亨選手の「山田、ガンバレ」のゲキにも助けられてゼロ封。その直後に味方が点を取ってくれました。

ところで、試合後の取材で山田投手が「エッ」と声を出して驚いたことがありました。この日は王貞治会長の誕生日だったのです。

2009年オフ。当時育成3年目を終えた山田投手はルールにのっとり自由契約となりました。しかし、王会長の見守る中ブルペン投球を行い、強い後押しもあって再契約を結ぶことになりました。山田投手自身も他球団から「支配下で」と具体的な誘いがありながら、「僕はまだホークスに恩返しができていない」と、育成選手契約ながら残留を決意しました。それからおよそ1年半でこの飛躍。王会長も試合後のハイタッチの列に加わり、チームとともに勝利の味を噛みしめていました。

「恩返しはまだですよ。まずは1年間ちゃんとやって、しっかりと形を残してから（恩返しという言葉を）言いたいです」

今季は最低でも2ケタ勝利が目標と話します。ただ、この1勝は、これまでにないほど大きな自信を与えてくれる白星になったようです。「今までの勝利はツキの部分もあったけど、今日の完封はデカいです。成長の糧にしていきたい」。

次も完封できるよう頑張ります、とお立ち台で宣言。次回の登板では確かな成長を示してくれるはず。本当に楽しみです。