ヒーローインタビューの1シーンが、今のホークスの強い絆と、ホールトン投手の想いをそのまま表したような光景でした。

山崎勝己選手が右手人差し指を立て、ホールトン投手は右手を大きく広げて表現したのは「15」の数字。ホールトン投手の今季15勝目をバッテリーで喜びあいました。先発右腕にとって特別な勝利でした。「米マイナー時代に14勝があったが、それを塗り替えることができて嬉しい。記念のお立ち台になったね。あと、ウイニングボールは、いつもならば次の日のキャッチボールに使ってしまうけど、今回のは大切にしたいと思っているよ（笑）」。8回途中まで投げて2安打しか許さない投球でしたが、そのうちの1本は初回に浴びた先制2ランでした。しかし、ホールトン投手は不思議な感覚を持ったといいます。

「吹っ切れたというか、すぐに新しい気持ちになることができたんだ。今までに体験したことのない感覚だった」

それは勝ち星を積み重ねてきた自信からくるものなのか――しかし、ホールトン投手は首を横に振ります。

「自信というならば、それは味方打線が反撃して追いついてくれると思えることへの自信だね」

その言葉通り、2回裏にホークス打線が猛攻を見せて4得点。逆転タイムリーを放ったのは山崎選手でした。

今季15勝を積み上げてきたホールトン投手ですが、振り返れば今季初登板は7回途中1失点ながらの黒星でした。それでも試合後は涼しい表情。「アンラッキー？今日は打線の援護がなかった。でも、打線のおかげで勝つ試合もある。僕はチームの打線を信じている。次も同じ気持ちで投げるだけさ」。それを形にした今シーズン。15勝はリーグトップに1差で最多勝のタイトルも見えますが、「全く意識していない。もしチャンスがあったとしても、それは周り、特に打線のおかげさ」と小さく笑い飛ばしました。

「僕はチームの勝利に貢献することだけを考えている」。残りは26試合。リーグ連覇への道を、この日の勝利でまた一歩前進することができました。