2013/12/07 (土)
選手

ドミニカ~な日記 第8話 「人間万事塞翁が馬」

若鷹奮闘記2013

選手画像

選手画像

選手画像

オラ~!コモエスタス!

前回の登板で「紙一重の差」で、痛い敗戦投手となってしまった「翔(21岩嵜)」でしたが、チームにとっても痛い敗戦になりました。
そして、新たにバリバリのメジャーリーガー(ローテーション投手)の補強で、次回の登板予定が白紙になってしまうという事態となってしまったのです。

さすがにこの時ばかりは、やるせなさを隠しきれなかったのですが、「今やるべきことは何なのか?」ということを再確認し、次のチャンスを待ち、またその時が来たら思い切り力を見せつけよう!、と話していました。
だからそれまでは来季の成長のための強化期間と捉え、トレーニングに重点を置いていく期間として大事に過ごしていこうと、モチベーションも高く取り組む日々となったのです。

そして次の登板が、前回登板から約2週間先になるということが決まりました。
その期間には僕の「鬼メニュー」(そうでもないとも思うけど)にも負けずに必死に頑張りましたよ(笑)。
翔にとっては今シーズンの中では一番キツかったようでしたけどね・・・(笑)。

そんな強化週間で、体の疲労や筋肉痛がピークに差し掛かった「感謝祭(Thanksgiving Day)」の日。
お呼ばれしたチームのフロント陣が主催してくれた夜の食事会のお開き直前のことでした。

チームのGMから「明日の先発予定投手が体調を崩したとの連絡が入ったので、翔は明日先発できるか?」といきなり聞かれたのです。
登板の調整もしていない、体の疲労もピークである翔も最初は戸惑いながらも、投げられるチャンスが来た!と一気に気持ちが高ぶり、快諾したのでした。

そして翌日、少しコンディションは心配していたのですが、僕の心配なんか完全な「取り越し苦労」といえるピッチングを見せてくれたのです!

この日の翔は、立ち上がりからストレート、変化球ともに抜群で相手を全く寄せ付けないピッチング。
相手先発投手も5回まで1安打ピッチングで完全に投手戦になりましたが、6回に味方打線が1点を奪ってくれ、そのリードをなんと!

自身の野球人生最長となる7回1死まで「パーフェクトピッチング!!」

7回1死から初ヒットと四球でピンチを作り、惜しくも降板となってしまいましたが、1点差のどうしても負けられない試合では納得の交代でしたね。
そのままリリーフ陣も無失点で繋ぎ、1対0の勝利で翔自身も2勝目を挙げ、その勝利に間違いなく大きく貢献したのは翔でした。

しかも相手チームはここまで7連勝中で、首位争いに完全に食い込んできた最も勢いのある相手で、それもビジター試合での満員の観客という完全アウェーの中でのこのパーフェクトピッチングは、まさに「神」ピッチングだったといえると思います(笑)。

この衝撃の活躍は、TV観戦中だった地元ファンの間でもフィーバーとなっていたようで、一気に「SHO IWASAKI」の名が街中を駆け巡っていたそうです(笑)。
その証拠に、初登板では「チーム」の週間MVPに輝いたのですが、今回は「リーグ」の週間MVPと「チーム」の同時受賞。しかも「リーグ」の選考会では、ほぼ満票に近い快挙だったのでした!

先発の調整もなく来季のための強化を始め、コンディションは決して良くない中でのこのピッチング。

「万全でなくてもこれだけやれるんだ!」

タフになった証拠でもあると思いますし、これは今後彼の中での大きな財産となるでしょう。

思えば、試合という身近な目標が無くなりかけ、何とか気持ちを奮い立たせて頑張っていた矢先に、「降って湧いた」チャンスをモノにできたこと、全く万全ではない中において今シーズンを通しても最高の投球ができたこと。
状況を一変させた翔の高いポテンシャルはもちろん、「人間万事塞翁が馬」とはまさにこの事だと感じました。

こんな大きな収穫も得られた今回の武者修行も、ついに・・・
ゴールが見えてきました。

さあ、ラストスパートです!。。。

つづく

2013年12月7日掲載
倉野 信次 (3軍投手コーチ)

若鷹奮闘記2013
関連リンク > 、
関連リンク > 個人成績
選手一覧へ戻る
  1. トップ
  2. ニュース一覧
  3. ドミニカ~な日記 第8話 「人間万事塞翁が馬」