2013/12/22 (日)
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ドミニカ~な日記 最終話 「成長の瞬間」

若鷹奮闘記2013

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オラ~!コモエスタス!

こちらでの「翔(21岩嵜)」の活躍のおかげで!?で、東洋人は誰でも同じように見えるであろう現地の人は、僕を見ても「お前はあのピッチャーだろ?」としょっちゅう声を掛けられるようになりました(笑)。
初めは「俺はコーチだから」と否定していた僕も、最近では面倒くさくなって「そうだぜっ!」と言い放ちながら、細かく突っ込まれるのが怖く、そそくさとその場を立ち去る、そんな日々となっていました(笑)。

そして残す期間も2週間程となり、翔の先発もあと2度ということが決まり、完全にゴールが見えてきました。

その翔の次の先発は首位攻防戦となったのですが、前回の「神ピッチング」の後だったので、より気を引き締め臨んでいました。
立ち上がり、味方野手の集中力散漫なプレー(たまによく見かけます)に足を引っ張られピンチを迎えるも、4番、5番の強打者を連続三振に仕留めピンチを脱し、さすがのピッチングを見せてくれました。

しかし、幸先よく先制してもらった直後の回に不運なヒットや自らのミスなどで同点に追いつかれてしまい、その後立ち直ったかに見えましたが、4回には強烈なピッチャー返しが左足に当たり、降板となってしまったのです。

今回は前回バッテリーを組んだキャッチャーではなく息が全く合っておらず、終始苦しいピッチングで、調子は悪くなかっただけに自分の良い部分が全く出せないでいたことには、本人も僕も非常にストレスが溜まる悔いの残るピッチングとなってしまいました。
試合後には、こういう部分は翔にとっても絶対に乗り越えなければいけない部分であり、自身の成長には不可欠な部分だということをしっかりと話し合いました。

そして、打球が当たった左足の状態は、2日間は歩くのも困難で足を引きずるような状態だったにも関わらず、翔の「このまま終わるのは絶対に嫌だ!」という強い気持ちが、驚異の回復力に繋がり、奇跡的に予定通りの中5日での先発ができる状態に回復したのです!

そしてそして、ドミニカリーグ最後の登板はホームで迎える一番のライバルチームが相手で、翔にとっては今季初対戦で、しかも球場も超満員になるファンのボルテージも最高潮の中での試合ということで、これ以上ない最終登板となりました。

その初回いきなりピンチを迎えるも無失点に抑えるまずまずの立ち上がり。
しかし2回味方が先制した直後に失点し同点に追いつかれ、その後はピンチの連続。それでも何とか粘りのピッチングを見せ、5回には1点を失い勝ち越され、途中降板のピンチになるも最後の打者を三振に打ち取り、最低限の先発の役割を果たすピッチングで降板となりました。

左足の打撲の中での中5日と厳しい条件下で、正直調子は中々上がらなかったのですが、このドミニカでの最終登板であったことや、前回の悔いを残したピッチングを反省して自分の弱さを乗り越えようという、その強い気持ちだけがこの日の彼を奮い立たせていたのだと思います。

その結果が、このような粘りのピッチングに繋がり先発の役割を何とか果たすことができ、またそれによってチームがこの試合に逆転勝利したことに貢献できたのです。
僕はこの日この時、まさに彼が最後の最後で「成長」を遂げた瞬間だった!と、そう思います。

翔にとってもチームにとっても大事な試合に勝利したゲームセットの瞬間、球場もチームメイトも喜びが爆発していて、この時は何故いつも以上に興奮しているのか分からなかったのですが、一番最後に戻ったロッカーでその答えが分かりました(笑)。

僕たちがロッカーに入った瞬間に大量のビールや水を掛けられ、ドミニカの「ビール掛け」を味わうことになったのです!
どうやら、チームの「プレーオフ進出」が決まった試合だったのでした!

知らなかった僕らは、驚きとともに最後の最後でこんな経験ができて本当に嬉しかったし、貴重な経験ができて感動しました!

思い起こせば・・・当初いきなり厳しさを痛感し、「最後までローテーションを守ること自体が難しい」と先が見えない不安を覚えた日、色んな面での過酷な環境に「早く帰りたい・・・」と本音をポロリと漏らした日、「体調が良かった日の方が少ない」と体調不良に悩まされた日々。

それらを乗り越え、最後はチームの堂々たる「ローテーション投手」としての活躍で、本当にタフになった、成長したと実感することができたのです。

帰る間際には、翔の「クラノさん、僕ここから帰るのが寂しくなってきました(笑)。」という呟きを聞き、こんなに充実感を得られた2か月になったなんて・・・僕も本当に嬉しかったんです(泣)。

今回のドミニカ武者修行、たくさんのドラマがありました。
こうやって成長できたのも、翔はもちろん、プエルトリコにも行くことになった「ヤマ(34山田)」や通訳の「ケント」と、みんなの力が合わさった結果だと思います。

最後に・・・
翔とは帰りの飛行機の中で、久しぶりに味わう日本人の『 おもてなし 』に改めて感動し、タフな経験を乗り越えた自信を手にして帰国することができました。
この武者修行を応援してくださったみなさん、本当にありがとうございました!

あとは、この経験を活かし今シーズンの借りを返すべく、来シーズンで・・・

『 倍返し! 』です!!!

おわり。。。(笑)

2013年12月22日掲載
倉野 信次 (3軍投手コーチ)

若鷹奮闘記2013
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