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自主トレを公開した杉内投手(右端)は力のこもった球を投げる |
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自主トレを公開した杉内投手は笑顔を見せる |
杉内俊哉投手がタイトル3連覇で「伝説のエース」になる。10日に鹿児島・薩摩川内市内で自主トレを公開。「タイトルは全部欲しい」と宣言した上で、3年連続の奪三振王に強い意欲を示した。先発投手の主要4部門で同一タイトルを3年以上連続で獲得したのは過去に7人だけ(2リーグ分立後)。稲尾和久投手(西鉄)金田正一投手(国鉄)江川卓投手(巨人)ら伝説的な投手しかなしえていない快挙に挑む。
2010年、日本最強左腕が球史に名を刻む。練習を終え、体を火照らせた杉内投手が熱き思いを口にした。「タイトルは全部欲しい」。貪欲(どんよく)な目標を掲げた中で特にこだわりを示したのが、08年から保持している最多奪三振のタイトル。みずから話題を持ち出して「3年連続で奪三振王をとれるようにしたい。2年続けているので、3年、4年と伸ばしていきたい」と誓いを立てた。
「7人のサムライ」に肩を並べる。先発投手の主要4部門(最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率)で同一タイトルを3年以上連続で獲得したのは7人しかいない。金田投手、稲尾投手、江夏投手、鈴木投手、江川投手、野茂投手、松坂投手。いずれも後世まで名を語り継がれる名投手ばかりだ。裏を返せば、成績を残し続けることがいかに困難かを如実に物語っている。
杉内投手自身も“王座防衛”の難しさは十分に理解している。「パ・リーグには三振をとれる投手が多いからね」。セ・リーグでは04年の阪神井川投手を最後に200奪三振が出ていないのに対し、パ・リーグの奪三振王争いは05年から5年連続して200奪三振以上で決着するなど激戦の様相だ。杉内投手も08年は日本ハム・ダルビッシュ投手に5個差、昨年は西武涌井投手に再び5個差でかろうじて競り勝った。
だからこそ、現状に満足はしない。「直球のスピードもそうだし、変化球もすべてキレを増すようにしたい。150km/hも投げてみたい」。直球の最速は現在149km/h。大台突破に向け、今オフから新たに体幹を鍛えるストレッチ「ピラティス」を練習へ取り入れている。個人契約を結ぶ河村茂トレーナーは「腹圧(腹をふくらませる力)を鍛えて高めることで、体幹に安定感が増してブレがなくなる」と説明。10月に30歳を迎える杉内投手だが、心身ともに向上を続けていく。
開幕に向けて仕上げに余念はない。26日までの自主トレ期間中には数回程度ブルペンにも入る予定。「けがをしないことが前提。1年間いないと、どのタイトルも厳しくなるんで」と慎重に調整を重ねていく。万全の準備を施し、「杉内伝説」が幕を開ける。