
体重移動を確認しながらキャッチボールをする山田投手
「成瀬の極意1200文字」で2ケタ勝利だ!山田大樹投手が、ロッテ成瀬善久投手の教えを胸に育成出身初の先発10勝を目指す。昨季CSで2敗を喫した「天敵」に弟子入りし、栃木・小山市内で自主トレを敢行。「成瀬の教え」を原稿用紙3枚にまとめ、胸に刻み込んだ。
「育成の星」山田投手が、天敵から活躍の極意を学び帰ってきた。ロッテ成瀬投手との1週間の自主トレを終えて、西戸崎合宿所での練習をスタートさせた。育成枠から支配下登録されて4勝した左腕は、チームがCSで2敗を喫した憎き左腕からの教えを、なんと原稿用紙にまとめた。パソコン、電子メールが全盛のデジタル時代に、律義にも用紙を広げて、鉛筆を走らせた。
「原稿用紙3枚分くらいです。内容?トップシークレットです。今はまだ消化できていないですけど、シーズン中とかに『こういうことか』とわかってくると思う」
文字数にして「1200」。自分で書き込んだだけに、血となり肉となっている。内容については秘密を貫いたが、メーンとなっているのは制球力についてだった。もともと「最も足りないものは制球力」とテーマを設定。和田毅投手の力添えもあり、球界でも抜群の制球力を誇る成瀬投手に押しかけ弟子入りを果たした。
制球力を高める体の使い方、投手の心得をむさぼるように聞いた。栃木・小山市内での自主トレはトレーナーを除けば2人きり。食事も常に一緒で、チームにとっては因縁の「CSの2勝」についてもマウンドでの心境などを質問した。
「練習でも成瀬さんを見てたらすごい。キャッチボールでもコントロールが半端ない」
西戸崎に戻っても、成瀬投手がしていた鋭い腕の振りで緩い山なりの球を投じるキャッチボールを行った。(1)最初から上に向かって投げない(2)腕の振りを遅くしない(3)球の重さを指先に感じて球を指にかけることを意識する、と教わったポイントを実践した。
昨季は13試合登板で四死球が40個。成瀬投手は28試合に登板しながら38四死球だった。1年間ローテーションを守るため、成瀬投手にあって山田投手にはないものが原稿用紙に詰まっていた。
「不安はある。今年で終わるかもしれない。でも、つかめばつかめると思う。開幕ローテで2ケタ勝利?そうですね」
4枚目の原稿用紙に描く活躍シーンは、育成投手出身では初となる先発での10勝達成と決めている。