
2回裏1死一塁、オープン戦初安打を放った内川選手(右)は鳥越コーチとグータッチ

2回裏1死一塁、内川選手は右前にオープン戦初安打を放つ
内川聖一選手が、阪神とのオープン戦(ヤフードーム)で、移籍初安打を放った。7番中堅で先発。2回の第1打席で、先発能見投手の高めの直球を右前にはじき返した。オープン戦4試合、10打席目だった。横浜からFAで加入した重圧を振り払い、安打製造器にようやくスイッチが入った。
重圧から解放された。思わず内川選手は一塁ベース上でガッツポーズを見せ、素直に気持ちを表した。華麗な安打だ。2回1死一塁、カウントは2ボールと打者有利。阪神先発能見投手が投げた3球目。外角高めの直球を逆らわずに、はじき返す。鋭い打球が一、二塁間を破った。10打席目でオープン戦初安打を放った。
「直球を狙っていた。何て気持ちを表現していいのか。ほっとしたというのが素直な気持ち」
オープン戦とは言え、意味のある安打だった。前日1日の中日戦では第1打席で四球を選んだが、それ以外の打席はすべて凡退。オープン戦3試合9打席で安打が出ていなかった。電光掲示板に映し出される打率は「0割0分0厘」。オープン戦とは言え、屈辱的な数字が気になっていた。
「自分はスロースターター。それでも、オープン戦でヒットが出ていないことは気にはなっている。移籍したばかりなんで。今年はオープン戦でも、違うぞという思いはある」
横浜時代の2008年に打率3割7分8厘で首位打者を獲得したヒットメーカー。歴代右打者最高打率保持者も「早く安打を打ちたい」と重圧を感じていた。
試合前、秋山幸二監督から安打が出ないことについて「あまり気にするなよ」と笑顔で言われたことが、特効薬となった。
「監督から声をかけてもらった。打者というのは1本ヒットを打てば、次の一打が打ちたくなる。それは、野球人生ずっと続いていく。毎日、毎日が勝負だから」
開幕投手候補の阪神能見投手から安打を放ったことが何よりの自信になる。パ・リーグにはロッテ成瀬投手、日本ハム武田勝投手と強力な左腕がいる。仮想ライバルには十分すぎる対戦相手だった。
「いい投手とオープン戦から対戦できるのは、自分にとってプラスになる。打てば、自信になるから」
大分出身。地元九州へ戻り、目指すは史上2人目のセ・パ両リーグ首位打者だ。苦しんでようやく打った初安打を浮上のきっかけに、これからも安打を量産する。