
4回、新井選手を二飛に打ち取り野手を指さす杉内投手

4回を2安打無失点で投げきった杉内投手
打たせてとってもすごい! 開幕投手に内定している杉内俊哉投手が4イニングで2安打無失点と万全の調整。最後はチェンジアップでマートン選手から三振を奪ったが、奪三振はこの1個だけ。3年連続200奪三振のドクターKが、鋭く曲がるスライダーを主武器に凡打の山を築いた。
バットの芯に当たらない。エース杉内投手の新スタイルが光ったのは2回だった。昨季47本塁打の5番ブラゼル選手を127km/hのスライダーで二ゴロに打ちとってみせた。続くのは昨季214安打の史上最多安打を放ったマートン選手。内角の127km/hのスライダーで中飛に切ってとった。7番林威助選手も125km/hのスライダーで捕邪飛。すべてスライダーで、凡打に仕留めた。
「(スライダーは)よく曲がった。ほっとしています。あまりいい当たりもなかった」
チェンジアップだけでなく、スライダーを決め球として完全に習得する。テーマを持って、代名詞ともいえる奪三振に必要以上にこだわらなかった。キャンプ終盤に「スライダーをつかんだ」。手首の角度を少し変えて鋭く曲がるようになり、投球の幅がさらに広がった。
オープン戦で初めてバッテリーを組んだ細川亨選手は「昨年まではカットボールに近いスライダーであまり曲がっていなかった。でも今は本当に曲がっている。統一球の影響もある」と証言する。キャンプでは早くから、滑ると言われる統一球の特徴をつかんだ。スライダーを進化させ、速球、チェンジアップと並ぶ投球の軸にした。
とはいえ、狙えば三振はしっかりと奪える。4回2死一、三塁だった。打者はマートン選手。オープン戦とは言え、絶対に打たれたくなかった。ここはスライダーを試すより勝負にこだわった。122km/h、内角低めのチェンジアップで空振り三振。被安打2で4イニング、ゼロを並べた。
「配球を読んでくる打者が多い。僕はガチでいってるから。(マートン選手は)いい打者。直球に力負けしない。スピードはこだわっていないけど、直球にも納得している。細川さんのサイン通りに投げただけ」
オープン戦2試合で7イニング1失点。順調に開幕戦へ階段を上がっている。3月25日オリックス戦(ヤフードーム)の開幕投手に既に内定。ほぼ完璧な投球内容だったが、笑顔はなく満足することもない。
「けがなくこれているので。あとは肩と肘を疲れさせていく。完璧とは思っていない。四球は抜けちゃったかな。細かい低めのコントロールも満足はしていない」
まだ上を目指す。鋭く曲がるスライダー、球威のある直球、タイミングを外すチェンジアップをさらに磨き、万全で開幕戦のマウンドに立つ。