
1回表ホークス2死、左越えにソロ本塁打を放ち三塁を回る内川選手

左越えにソロ本塁打を放ちファンの声援に深々と頭を下げる内川選手
恩返しの1発で吹っ切れた。内川聖一選手が、10日横浜戦(北九州)で3番左翼で先発。古巣相手にオープン戦初本塁打を含む3安打と大当たりだった。前日まで打率2割だったが、3試合連続安打と調子は上向き。このままパ・リーグ開幕まで、安打製造機の勢いは止まらない。
鋭く速く、そして美しい放物線だった。初回、内川選手が横浜ブランドン投手の134km/hスライダーに合わせた。ボールは左翼席最上段に当たって場外へ。両翼92mの北九州ならではの"場外アーチ"は移籍1号でもあった。
「うまく合わせることができた。1日くらいこういう日があってもいいかな。投手とのタイミングが合ってきた」
勢いは止まらない。3回1死二塁、チェンジアップにうまく合わせ、中前へ運ぶ適時打。5回には直球を左前へはじき返した。オープン戦初の猛打賞となる3安打1本塁打2打点。ヒットメーカーの本領を発揮した。
「自分はホームランバッターではない。打線もすごい。自分はたまに(本塁打を)打つだけでいい。ホームランより3回のタイムリーの方がうまく打つことができた」
前日まで打率2割と低迷。2008年セ・リーグ首位打者が早出特打を志願し、バットを振り続けた。立花義家打撃コーチから左足の使い方を助言され、打撃フォームを微調整した。その成果がいきなり出た。同打撃コーチは「(フォームが)少しずれていた。それが元に戻った」と説明した。
「古巣を意識しないと言えば、うそになる。お世話になった方もいる。こういう選手になりましたというのは見せられたかなと思う」
昨季まで在籍した横浜相手に浮上のきっかけをつかんだ。自分が一流に成長できたのは横浜で送った日々が糧となったことは、自覚している。一方で、もっとレベルアップしたいから新天地に移籍した。優勝を目標として、緊張感あふれる日々を送りたい。移籍後初本塁打は、ホークスの一員として認められる名刺代わりの1発となった。
「たまたま結果が出ただけ。スロースターターと言われているが、ペースが上がってきたのではなく、常に全力でやっている結果。1打席1打席に集中していくだけ」
開幕まで2週間。もうこのまま突っ走っていくだけだ。