一塁を回ると右手を高々と突き上げた。力強いガッツポーズは、今のチームの勢いをそのまま象徴していた。

6月8日（水）のジャイアンツ戦（ヤフードーム）は鮮やかな逆転勝利でした。0対2で迎えた4回裏、カブレラ選手のタイムリーで1点を返し、なおも2死一、二塁で松田宣浩選手が登場。「相手の金刃投手は球にキレがあったので強引にいかないと打てないと思った」と外角直球をあえて強振すると、打球はセンターバックスクリーン左へ飛び込む逆転11号3ランになりました。貴重な一発であり、さらに「今年一番飛んだんじゃないですか」という自画自賛の当たりに満面の笑みがこぼれました。

しかし、やみ雲にバットを振っているわけではありません。先週3日（金）から5日（日）までの3試合はノーヒットと苦しみ、「悩みもした」といいます。その中で決断したのがバットを短く持つことでした。

「今年は追い込まれてからバットを短く持つようになり、その結果追い込まれた後の打撃内容が随分よくなりました。ただ、長く持った時の早いカウントの勝負があまりよくなかった。そこで初めから短く持つようにしたんです」

バットを短く持てば、その分遠心力が使えません。そのため一般的にはホームランバッターよりも、ヒットを量産する巧打タイプの打者を連想しがちです。しかし、王貞治会長も現役時代はバットを一握りぶんほど短く持っていたこともあり、一概には言えないのです。

「短く持ってもあれだけの打球が打てた。自信になります。これを継続していきたい」

ホークスはこの勝利で貯金20の大台に乗せました。ついでに"得失点差"も「プラス100」に到達。投打ともにガッチリとかみ合う強いホークス。交流戦の優勝マジックは「4」です。