ホークス3軍は、今日29日に2週間の韓国遠征から帰国しました。韓国遠征は3軍制が敷かれた2012年から始められたもので、今年までに計130試合以上を実施しています。リーグに所属しない3軍の実戦機会増を図ることが主な目的ですが、異なる野球文化や環境の中でいかに自分の能力を発揮できるか、という適応能力を育む側面もあります。この韓国遠征1年目に、また、今回も3軍監督として参加している小川監督は、「韓国にまで試合機会を求めるのは本当にすごいことだと思う。異国の文化を感じると人間的に成長するもの。選手たちには、貴重な機会ととらえて試合と練習に励んでもらいたい」と選手の成長に寄与する取り組みとして期待を寄せます。
今回の韓国遠征の初戦は斗山ベアーズ。今年のPayPayドーム(現・みずほPayPayドーム福岡)オープン戦での「ホークスプレシーズンマッチ」で対戦したチームとして、KBO(韓国プロ野球リーグ)球団の中ではホークスファンの皆さんにもおなじみの球団かもしれません。KBO発足の1982年に創設され、過去6度の韓国シリーズ優勝を果たしている名門チームです。今回ホークスが訪れた2軍施設の「ベアーズパーク」は、広大な敷地の中に球場「ベアーズスタジアム」をはじめ、設備が整った選手寮やサブグラウンド・室内練習場があり、選手育成にも意識を高くもっていることがうかがい知れます。また、斗山ベアーズのイ・ジョンフン2軍監督も「日本から能力が高い選手が試合をしに来てくれるのはありがたいこと。試合はもちろん、指導者同士の交流も選手の成長に役立つと思っている」と選手育成の観点からもホークス来訪を歓迎してくれているようです。
自然に囲まれたベアーズスタジアム。球場内には球団史を知れる博物館も。
今回遠征初戦のホークス先発は井﨑燦志郎投手。「違う環境で野球をすることは刺激になる。この遠征でも何かを掴んで帰りたい」と意気込んでのマウンド。チーム宿舎があるソウル中心部から約2時間半のバス移動の影響を感じさせず、6回を3失点としっかり先発の役割を全うするピッチングでした。相手チームのデータがない中でも、「自分の球がどれだけ通用するかを純粋に勝負する気持ちで」と、3度目となる韓国遠征に頼もしさをのぞかせました。また、現在は主に3軍で過ごす井﨑投手は日本ではまだ2軍戦での登板経験はありませんが、韓国で対戦するのは主に2軍格の選手たちで、中には1軍で試合に出ている選手も。そんな選手たちとの対戦に井﨑投手は「そういう選手に投げられることが嬉しかったし、ある程度抑えられたことが自信にもなった」そうです。
ちなみに井﨑投手はあまり韓国の食事が合わないようで…、過去2回の参加では帰国時には体重が落ちてしまったそう。ただ今回は、日本からプロテインなどを持ち込んだり現地でも食べ易いものはしっかり摂るようにしたりと、体重やコンディションの維持に気を配っていた結果、体重を増やして帰国することができました。韓国遠征の意図のひとつである“異なる環境の中でいかに自分の能力を発揮できるか”ということもしっかり意識して遠征に参加したようです。過去に育成投手としては、千賀滉大投手(現ニューヨーク・メッツ)や石川柊太投手も参加した韓国遠征。井﨑投手もこの経験を活かし、さらに飛躍してくれることを期待したいと思います。