| 2本塁打を放ちヒーローの松中はバギーにまたがり外野のファンへあいさつに行く | 松中信彦選手が今季2度目の1試合2発で連勝に導いた。初回に日本一広い福岡ヤフードームの左中間へ先制2ラン、5回には独特の「詰まり打法」で右翼へ3ラン。力と技を発揮し4打数2安打5打点と活躍し、チームは借金を2に減らした。松中選手は通算1500安打まで残り「4」とし、通算1023打点で歴代30位に浮上した。援護を受けた先発和田毅投手も6回1失点で開幕戦以来の今季2勝目。投打の柱が5月反攻の口火を切った。 バットを両手でつかんだまま打球の行方を追った。駆けだす必要はない。5回。松中選手が小野投手から3ランを右翼席へ運んだ。内角カットボールにバットをあえて詰まらせた。芯を完全にとらえればファウルになる。打球の方向性を確保するため、バットに感覚で乗せる一流ならではの打法だ。「うまく運べましたね。今年1番いい打ち方です」。相手の戦意をそぎ、連勝をグッと引き寄せる一振りだった。 先制点は力で押した。初回にヤフードーム最深部の左中間へ2ラン。本拠地で通算134発と誰よりも打っている男だからこそ、その意味も分かっていた。 松中選手 ボールがしっかりバットに乗ってくれた。バットの軌道がいいんでしょうね。今日は修正して臨んでいました。バットがなるべくすぐに出て来ないような感じに、ですね。 ここ5試合ノーアーチ。試合前は立花義家打撃コーチとロングティーに取り組み、スイングを微調整。さらにフリー打撃では普段より約30グラム重い940グラムのバットを使った。「(小野投手は)普通の真っすぐじゃないから、こういうバットで詰まらせて持っていく感じが大切」。手元でボールを動かしてくる相手対策にもぬかりなかった。 1試合2発、5打点の働きでチームは今季2度目の連勝、借金は2に減った。エース和田投手の開幕戦以来となる2勝目を援護した。秋山幸二監督も「信彦のが大きかったね」と感心しきりだ。これで松中選手は通算1500安打に残り「4」とカウントダウン。「いいペース」という打点は25試合で25点、通算1023点で掛布らを抜き、歴代30位になった。「えっ、それはうれしいですね。もっともっとという気持ちになります」。現状に甘んじない姿勢が今の松中選手を支えている。 試合後の会見にはウエートトレーニング用の手袋をはめて登場。「おかわり君(西武中村選手)の飛距離を見ていると、負けていられんなと。明日はデーゲーム? そんなの関係ありません。今、やっておかないと」。飽くなき向上心と闘争心を持つ主砲は当たり前のようにトレーニング室にこもった。 |