4勝目を挙げたホールトン投手（中央）はベンチ前でナインを出迎える

ホールトン投手が和田ショックを振り払う好投だ。この日の試合前、和田毅投手が左ひじ炎症で出場選手登録を抹消された。2軍では3週間ノースロー調整を行う予定で、前半戦の1軍復帰は困難になった。チームは重苦しい雰囲気だったが、7回途中3失点ときっちり試合をつくった。防御率2点台と安定する助っ人が、和田投手不在の先発陣の中心として働く。
和田投手がいなくてもオレがいる。ホークスの助っ人右腕ホールトン投手が4勝目を挙げた。横浜打線に対し6回 0／3 6安打3失点。佐伯選手に2本のアーチを浴びたが、4度の3者凡退など安定した投球を披露した。
和田投手が登録抹消されたが汗をぬぐった助っ人は頼もしいセリフを吐いた。「攻撃陣も調子がいいし、自分もしっかり自分の仕事をすれば（チームは）大丈夫だと思う」。チームトップ、リーグ3位の防御率2.21を誇る大黒柱は和田投手不在を支える決意だ。
日本球界2年目の強みがある。「全体的に日本人がどういう考えをしているかが、わかるようになってきた。よく観察してたからね」と好調の要因を説明する。1年目の昨季は抑えから7月に先発転向し4勝止まり。しかし今季は開幕前から先発の柱として期待された。「日本の生活にも慣れた」。2005年にドジャースの先発ローテの一角として活躍した実力を十分に発揮し、早くも昨年の白星に並んだ。
チームメートとの信頼関係も築いた。「（捕手の）田上も自分のことを分かってくれているし、自分も田上の考えていることがわかるようになった」。この日もチェンジアップが不調と判断すると、カーブを多めに投げ140km/h台後半の直球を生かした。リードした田上秀則選手も「（ホールトンとは）同じ年齢やし仲もいい」と話す。「ずっと調子いいね」と秋山幸二監督も助っ人の活躍に目尻が下がるばかりだ。
異国の地での生活では、やはり家族の存在が心の支えだ。前々日の5月31日も夫人と生後8ヶ月の愛娘が球場を訪れた。登板日ではなかった右腕は終始笑顔で、最後は人目を気にせずキスをし、英気を養った。4勝目にも「シーズンを通してチームに貢献できるようにしたい」とサラリ。家族とチームを大事にする助っ人が、和田投手不在のピンチを救う。