広島駅に到着した松田選手

秋山ホークスに頼もしい男が「切り札」として1軍昇格を果たす。4月のリーグ開幕戦で右手甲を骨折し、2軍調整を続けてきた松田宣浩選手の5日広島戦（マツダ）での1軍復帰が4日、決定した。「代打の切り札」としてベンチスタートが濃厚だが、7番三塁で先発出場する可能性もある。交流戦優勝マジック「10」が点灯。2リーグ制後球団通算4,000勝へあと4勝に迫っているホークスは、松田選手の復帰でさらに勢いがつきそうだ。
ホークスに背番号5が帰ってくる。交流戦の首位決戦を前に、敵地広島へ乗り込んだ秋山幸二監督は、松田選手について「（広島には）今日（4日）の夜、来るよ」と1軍合流を明言した上で「打つのも守るのも動きの方は問題ない。あとは試合に出てどうかだね」と期待を寄せた。
1軍本隊の広島入りから遅れること約7時間半、松田選手は2軍遠征先の山口・由宇から午後7時すぎに広島駅に到着した。「やるしかない」。日焼けした顔を引き締め、決意を口にした。
63日ぶりの1軍復帰を前にして「全球フルスイング」で意気込みを示した。この日は由宇でウエスタン・リーグ広島戦に「4番三塁」でフル出場。全5打席の計8球すべてに対してバットを振り抜き、持ち前の積極性を存分に発揮した。5打数2安打1打点。「ストライクだったら積極的にいこうと思った」。初回2死二塁で打席に立つと、広島小島投手の直球を左前へ運んで先制の適時打を放った。4回にも無死一塁から右前打で出塁した。
状態は申し分ない。2軍戦6試合で21打数6安打（打率2割8分6厘）4打点と上々の数字を残し「もう大丈夫です。下（2軍）でしっかり時間をもらったので」と完全回復を宣言。プロ1年目から指導する山村善則コーチからも「（本調子に）『戻ってきた』ではなく、もう『戻った』。アイツらしい打撃ができている」とお墨付きをもらった。5日の広島戦は代打での出場が有力だ。森脇浩司コーチは「（当面は）代打からチャンスをつかまないといけないかもしれない」と見通しを示した。一方、右太もも裏を痛めている小久保裕紀選手が現在21打席連続無安打と苦しんでおり、秋山監督は「（故障者を休ませる）可能性は出てくるだろうね」と、松田選手を代役で起用するプランも示した。スタメンに入る場合は7番サードが予想される。
4連勝中で交流戦優勝マジック10を点灯させているチームは、2リーグ制後4,000勝の大台にもあと4と迫っている。松田選手も「チームに貢献するプレーがしたい」と流れに乗り遅れない活躍を誓った。頼もしき26歳の復帰で、タカの勢いはさらに加速する。