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1回裏2死、赤松選手の打球に手を伸ばし投ゴロに打ち取るホークス先発のジャマーノ投手 |
ジャスティン・ジャマーノ投手が来日初登板で「6回完投」の初勝利を挙げた。6回を2安打1失点、打っても3回に適時二塁打で初打点のオマケもついた。和田毅投手、大隣憲司投手が負傷離脱する苦しい台所事情を救う初登板完投勝利に、涼しい顔で「雨が降らなければもっと投げられたよ」と白い歯を見せた。
奪三振はゼロでも、わずか62球の省エネ完投だ。初回先頭の梵選手に対し、初球でいきなりの死球。だが、続く東出選手をセカンド本多雄一選手の好捕で併殺に打ち取ると勢いに乗った。球速は140キロに満たなくても、打者の手元で動くツーシームと100キロ台のカーブで的を絞らせず、凡打の山を築いた。3回に石井琢選手の三塁打から失った1点だけに抑え「打たせて取るのが自分の持ち味。完投で中継ぎ陣も休ませることができて良かった」と胸を張った。
「無責任男」のレッテルをようやくはがした。2月26日に先発した紅白戦で8安打10失点と崩れ、最後は3回2死となったところで自ら勝手にマウンドを降りて“職場放棄"。「肩が疲れて球数(72球)も多かったので、自分から降りた」と弁明したが、チーム内で信頼を失い、オープン戦でも結果を出せずに開幕1軍を逃した。
口数は少なく、2軍のロッカーでもぽつんと1人で座っていることが多かった。折れそうな気持ちを支えたのは、昨年末に結婚した妻ローガンさんだ。休日のたびに夫婦で福岡・天神の街へと出かけるのが何よりのリフレッシュだった。この日はローガンさんも駆けつけて応援。試合が終わると2人で喜びを分かち合い、福岡へと帰る妻を広島駅まで見送った。
かつての問題児は「味方の守備や攻撃に助けられた」と殊勝な言葉を並べた。秋山幸二監督からも「球数も少なかったし、次回も楽しみだね」と活躍を認められた。苦しい先発陣に頼もしい助っ人が加わった。