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完投勝利で5勝目をマークし、ナインと笑顔でハイタッチを交わすホールトン投手(右) |
「赤鬼」の再来だ!ホークスのD.J.ホールトン投手が来日2年目で自身初の完投勝利。5回まで1人の走者も許さない完全投球で阪神打線を圧倒して、4安打1失点で5勝目を挙げた。
27個目のアウトを取ると、131球を投げきった右手を握りしめ、前へと突き出した。最後は新井選手を外のスライダーで空振り三振。観衆4万6502人の大半が肩を落とした甲子園で、歓喜のハイタッチだ。
「こういう伝統のある球場で初完投勝利ができてうれしい。コントロールミスだけはしないように気をつけた」
初回から5回まで打者15人を立て続けになぎ倒した。193cmの長身から投げ下ろす直球とカーブ、スライダーを器用に操り、凡打の山を積み上げた。9回を投げ切って奪三振は4止まりでも、四球はわずか1個。6回先頭の葛城選手に初安打となる二塁打を許し、併殺崩れの間に1点を失ったが、続く7回は再び3者凡退に抑え、つけいるスキを与えなかった。
阪神相手に完投勝利を挙げた外国人投手は、ホークスでは64年日本シリーズで3完封を挙げ「赤鬼」の異名をとったジョー・スタンカ(南海)以来45年ぶり。チームにとっても開幕戦の和田毅投手以来53試合ぶりとなる9回完投に「リリーフ陣を休ませられたのが何より。今まで助けられてきたから」と胸を張った。今季のホールトン投手は防御率2.06と抜群の安定感を見せ、伝説の助っ人が残した球団の外国人最高記録2.40をも上回る勢いだ。
来日2年目の今季は“目の色”が違う。2月のキャンプ中、高山郁夫投手コーチとの面談で「今季は先発でいく」と告げられたという。昨季序盤は馬原孝浩投手不在の代役として抑えに回り、夏場からは先発で起用されるなど、立場がハッキリしなかった。高山コーチは「(面談を境に)目の色が変わりましたね」と明かす。明確な役割を与えられ、モチベーションは高まった。この日は8回終了後に「今日は完投する」と首脳陣に直訴。秋山幸二監督も「頼もしいね」と目を細めた。杉内俊哉投手とともに先発陣の両輪を担う“白鬼”が、Vロードをけん引する。