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6本の本塁打で横浜を下し、試合後ナインを出迎えた秋山監督はオーティズ選手とタッチを交わす |
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7回表、長谷川選手はこの日2本目の本塁打を放つ |
これが王者の祝砲だ!すでに交流戦連覇を決めていたが日本一になった03年シーズン以来、6年ぶりの1試合6発をぶっ放した。セ・リーグと交流戦で最下位の横浜を大量11得点で粉砕。交流戦で全球団から勝ち越しを決め、史上初の“完全V”を大花火大会で飾った。結局、交流戦の連敗もゼロ。リーグ戦での躍進を予感させる勝ちっぷりだ。
白星をためにためた交流戦。連覇の感謝の思いを込めた花火の特別サービスでおなかいっぱいになったのはファンだけでない。ナインが、秋山幸二監督が帰りのバスへ笑顔の行進だ。
「今日は1発攻勢だったなあ。ポンちゃん(本多)が最初に打って、長谷川もいい打球だった」
タマヤ~、カギヤ~。夏の風物詩にはちょっと早いが、横浜の夜空に打ち上がった6発のホークス花火。爆勝に上気する指揮官をハマの夜風がさらに心地よくした。
本多雄一選手が左翼ポール際に運んだ先頭打者アーチは序の口だった。直後にジャマーノ投手がソロ、2ランで逆転され、交流戦王者のショーが幕を開けた。1-3の2回に長谷川勇也選手が同点2ラン、さらに田上秀則選手が勝ち越ソロ。その後はオーティズ選手、松田宣浩選手も放ち、7回に長谷川選手がプロ初の1試合2発となるトドメの3ランをバックスクリーン右へぶっ飛ばした。
最近の1試合6発は03年9月14日オリックス戦。最後に日本一になったシーズン以来だけに4番小久保裕紀主将は「03年以来? 縁起がええな」と笑ったが「おれと信彦(松中)が打ってないのに…」と付け加えた。この言葉が今のチームを象徴する。11得点のうち、6番以降で4発7打点。6番長谷川選手は「甘い球を1発で仕留められた」と1人で5打点をたたき出し、8番田上選手はチーム最多の11本目。田上選手は「打線に勢いを感じる」と胸を突き出した。
03年は球界初の100打点カルテット(松中、城島、井口、バルデス)で3年ぶり3度目のリーグVと日本一を達成した。そのときは当時親会社のダイエーにかけた愛称“スーパー打線"の看板選手がグイグイ引っ張った。だが今は、秋山監督が「どこからでも点が取れる」という切れ目のない打線が特徴だ。それでもこの爆発は予測不可能だったに違いない。
すでに連覇を決めていたが、これで交流戦で全球団から勝ち越しが決定。5年目にして史上初となる“完全V”を6本のアーチで飾り、交流戦での連敗ゼロも確定した。ただし秋山監督の視線はとっくに次段階に移っている。「完全じゃないよ。何言ってんだよ。もう終わったこと。1試合1試合取っていくだけ」。圧倒的な強さを誇った交流戦はラスト1試合。横浜の夜空に描いた“吉兆”を現実化するリーグ戦は間もなく再開する。指揮官が本当に求める強さはこのレベルではないはずだ。