交流戦連覇の陰の立役者は田上秀則捕手だった。8番捕手で先発。2回1死二、三塁から左前へ2点適時二塁打を放ち、本塁悪送球の間に二塁に滑り込んだ。「追加点がほしいところだったので」。交流戦ではオーティズに次いでチーム2番目の20打点をたたき出した。DH制があるリーグ戦では9番。性格的に目立つタイプではないが、打線のしんがりでチーム最多の11本塁打を放つ。扇の要としてもチームを支えている男に秋山幸二監督は「MVP級」の賛辞をおくった。
秋山監督「(交流戦の)MVPはだれになるのかな。(候補が)いっぱいいるのはいいこと。田上?本当にリードを安心して見ていられた。成長したよね」。
交流戦18勝のうち13勝で先発に勝利がついた。特にジャマーノ投手は来日から3戦3連勝。背景にはプライベートでも外国人選手と食事に出かける田上選手の「外交術」がある。交流戦3勝のホールトン投手も「ダーツで負かされるけど、田上はナイスガイ」と一目置いている。普段からコミュニケーションに時間を割き、配球を研究する地道な姿勢が実を結んでいるといえる。
再開するリーグ戦では何度も顔を合わせる相手との戦い。4戦勝負の交流戦より、田上選手の担う役割は大きくなる。チームは2連勝した横浜スタジアムで移動用スーツに着替え、福岡へと移動。「ハムは負けたな。西武はどうなんだ」。切り替えの早い秋山監督の頭はペナントレースでの計算が働き始めた。
移動バスに乗り込む前、雨に打たれながら応援したタカ党の1人から「監督、バック転して下さい! 」と声が飛んだ。現役時代の代名詞でもあったバック転のお願い。指揮官は「体が重いよ」と笑い飛ばしたが、今の勢いなら秋に宙を舞うのは夢物語ではなさそうだ。
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(提供:西部日刊スポーツ新聞社)
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