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完封で7勝目を飾り秋山監督の祝福を受ける杉内投手 |
王者が左腕エースの今季初完封で交流戦を締めた。杉内俊哉投手が9回3安打で横浜をシャットアウトし、今季7勝目を飾った。通算9度目の完封勝利はチーム単独トップ。2戦連続完投の杉内投手は交流戦6試合で3勝0敗とMVP候補としてアピール。当初借金3のチームが交流戦を18勝5敗1分けと勢いに乗り、07年9月以来の貯金10。再び首位タイに浮上した。
マウンドの杉内投手を中心に晴れやかな笑みの輪が広がった。雨空の下で9回3安打で今季初完封。握った左こぶしを何度も振って、勝利の味をかみしめた。「あれくらいなら雨とは思ってません。やるからには勝ちがつくようにと思った」。すでに完全優勝を決めている交流戦。その最終ゲームで左腕エースが快投を演じた。
試合前には1時間に13mmの強い雨が降った。開始後も雨脚が強く指先が滑る悪条件だが、制球力は狂わない。3回に新沼選手への2球目はぬかるんだマウンドに足を取られ、三塁側へスリップ。そんな状況でもカウント0-3はゼロ。二塁を踏ませたのは7回2死一塁からの暴投による1度のみ。
杉内投手「打者も同じ条件。足場が悪いし、大胆に行こうと思った。うちの打者も滑っていたし。真ん中にも放りましたよ」。
打席は雨でグチャグチャ。足元のグリップ力を奪う悪条件を逆利用するしたたかさがあった。3回まではチェンジアップをあえて封印。打者心理を揺さぶる田上選手との呼吸もぴったりだった。
9回2死走者なしで「ちょっと意識した」と仁志選手へ四球を出し、無四球完封を逃した。それでも通算9完封は斉藤和巳投手、新垣渚投手を抜いて堂々のチーム単独トップ。2試合連続完投で、交流戦6試合で3勝0敗。24日にも発表されるMVPに向けてアピールにもなった。この日試合前にはベスト・ファーザー賞を受賞。父の日を「全然忘れていました」というが、福岡で待つ長男咲哉君に父の威厳を示し、逆に白星をおくることができた。
借金3で迎えた交流戦を18勝5敗1分けで駆け抜けた。リーグ戦の貯金を07年9月以来となる「10」とした。「いい形で終わったね。杉内がよく投げてくれた。中継ぎを休ませられた」と、秋山幸二監督は『孝行息子』の快投を手放しで喜んだ。26日に再開するリーグを前に日本ハムと並び、5日ぶりに首位浮上。昨年は交流戦Vから最終的に12年ぶり最下位まで転落している。「チーム一丸で1勝ずつ積み重ねれば最終的に1位になれる」。杉内投手は言い切った。交流戦男らしい、完封劇でチームの勢いはまた、加速した。