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試合後、小久保選手と笑顔でハイタッチしする杉内投手 |
杉内俊哉投手が自己最多タイの7連勝を今季3度目の完投で飾った。日本ハム打線に対して9回7安打3失点。5月3日のロッテ戦から続く連勝をまた伸ばした。
「疲れたあ。途中からギアが?入ったねぇ。勝って良かった。粘りが持ち味だからね」。いつもの淡々とした口調で試合を振り返ったが、移動バスに乗り込むと笑顔で待つ仲間につられ、思わずほおを緩ませた。
松中信彦選手の逆転2ランが飛び出した直後の4回裏、2死走者なしの状況から小谷野選手、糸井選手に連打され、鶴岡選手に2点タイムリーを浴び、再逆転を許した。それでも5回から8回を打者3人ずつで切り抜け、我慢強く援護を待った。「勝負どころと思った。全力でいった」という8回は田中選手、代打ボッツ選手、稲葉選手を圧巻の3者連続三振。5番スレッジ選手から3三振を奪うなど終わってみれば9奪三振だった。試合後は、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表で一緒だった稲葉選手を球場の外で見つけてがっちりと握手。相手の苦笑いが杉内投手の勝利を引き立てた。
完投が期待されていた。勝利の方程式「SBM」の一角をになうファルケンボーグ投手が、2日のオリックス戦で1カ月ぶりに2イニングを投げたため、首脳陣は長いペナントレースをにらんでこの試合を休養日に設定。高山郁夫投手コーチは「投げるのが杉内だからというのもある」と信頼を寄せていた。
杉内投手は函館の柔らかく投げづらいマウンドに苦しみ、8回以降は左ふくらはぎをけいれんさせながら完投。試合中に何度も歩み寄った小久保裕紀主将は「(踏み出す部分が)こんなに掘れていた」と両手で30センチの幅を作って過酷な条件を証言。だが、左腕はそんなつらさを、おくびにも出さなかった。
ともに7連勝を狙った日本ハム八木投手に投げ勝ち、和田毅投手と並んでチーム2位の通算73勝(トップは斉藤和巳投手の79勝)。3年連続の2ケタ勝利にも王手をかけた。「それは意識せずにやりますよ」。もう2カ月負けなし。杉内投手が投げれば勝つという雰囲気が、チームを勢いづけている。