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4回裏無死、右越えソロ本塁打を放つ松中選手 |
ホークスが、ド派手な1発攻勢で球団創設4,500勝に王手をかけた。4回裏に松中信彦外野手、多村仁志外野手、田上秀則捕手が本塁打を放ち、本拠地・ヤフードームでは4年ぶりの1イニング3発を記録した。5回裏には小久保裕紀内野手も加わりアーチ競演。右ひじ痛からの復帰戦となった楽天岩隈久志投手を粉砕する快勝で、秋山ホークスが貯金を今季最多タイの15とした。
右へ、中へ、左へ。ヤフードームを埋めた大観衆へ御礼とばかりに、鷹ナインが全方向に花火を打ち上げた。それも、4回裏の1イニングだけで、だ。まずは主砲松中選手が着火弾。「相手のエース岩隈から打てたのが大きい」とコメントした先制13号ソロは、内角高め直球を右翼席に運んだ。さらに、多村選手が続いた。バックスクリーン左へ10号2ラン。仕上げは田上選手。内角直球を豪快に左翼スタンドへ、たたき込んだ。
本拠地では05年7月3日オリックス戦以来、4年ぶりの1イニング3発。昨季チームは5勝を献上し、パ相手には松田宣浩選手の1本しか被弾しなかった楽天岩隈投手を3スイングで粉砕した。5回裏の主将小久保選手の8号3ランを含めた1発攻勢で、苦手右腕を沈めた。秋山幸二監督が「ナイスゲーム。あの4発、すばらしかった。松中の最初のが火を付けた」とうなるのも無理はなかった。
豪快なアーチ競演の裏には、したたかな計算があった。この日の4本塁打は、いずれもカウント1-1からの3球目。岩隈投手に浴びせた9安打は、すべて追い込まれる前にスイングしている。「いい投手だから(追い込まれる前に)振っていかないとね。『積極的に打っていきなさい』ってね」と秋山監督。それも、闇雲に振りにいったわけではない。松中選手が証言した。「(岩隈投手は登板が)1ヶ月ぶりくらいだし、不安もあったと思う」。右ひじ痛からの復帰戦で、早めにストライクを取りに来る心理状況を完全に読み切ってもいた。
13試合連続安打もマークした多村選手が10号を放ったことで、チームでは2ケタ本塁打選手が4人(他はオーティズ選手、松中選手、田上選手)となった。小久保選手も8号で2ケタ目前。03、04年に2ケタ本塁打選手を5人輩出した「黄金期」にチームは近づこうとしている。
「03年に似ている?近いものがありますね。今は若手、ベテラン、外国人が噛み合っている」と松中選手。かつて小久保選手をはじめ城島選手、井口選手らと競い、3冠王に上り詰めた松中選手は、この日「僕のが一番飛んでないと思う。練習しないといけない」とも口にした。
貯金を1日で今季最多15に戻した。5月12、13日以来、もう2ヶ月も連敗を喫していない。球団創設4,500勝には、あと1勝だ。「勝てる試合をしっかり取っているし、みんなが自分の仕事をしている」と秋山監督。14日からは球宴前ラストの9連戦。15日早朝に地元福岡では博多祇園山笠がクライマックスを迎えるが、秋山ホークスの快走は終わりを告げそうにない。