2009/08/02 (日)

松中選手の「芯外しアーチ」炸裂

8回表2死二塁、決勝の右越え2点本塁打を放ちバットを放る松中選手
8回表2死二塁、決勝の右越え2点本塁打を放ちバットを放る松中選手
M砲でハム粉砕だ! 松中信彦選手が0-1の8回2死二塁、日本ハム建山投手から右翼スタンドへ逆転2ランを放った。MVPを獲得した今年のオールスターと同じ内角をさばいた1発。現役最多タイの通算106死球目を受けた直後の打席で、相手敵地で5戦連発となる一撃だった。日本ハムとゲーム差は再び3。首位追撃のカギはこの男が握る。

息詰まる戦いを松中選手が一振りで制した。0-1の8回2死二塁。マウンドには日本ハム3番手建山投手がいた。中、内(ファウル)外、内と攻められ、ボールカウント1-3。1点差で一塁は空いている。四球が頭をよぎってもおかしくない場面だったが、主砲の神経は研ぎ澄まされていた。

「1球目から勝負してくる感じだったのでしっかり集中できた。あそこで打たないといけないという意地があった」。5球目、内角高め直球を打ち砕いた。4球目とほぼ同じコース。内角をさばくことにかけては天下一品の男が、同じ球を2球続けられて、黙っているはずなかった。
高い放物線を描いた打球は右翼スタンド中段へ吸い込まれた。先週のオールスターゲーム第2戦で2本塁打し、MVPを獲得。2本目は中日吉見投手の内角球にフェード回転をかけて右翼ポール際にねじ込んだ。それに劣らない芸術的なアーチだった。「飛んだでしょ? 完ぺきでした」。真っ向勝負を挑んできた相手を、完全なる力と技術でねじ伏せた。

各球団の強打者たちが舌を巻くひと振りだが、実は松中選手の本塁打の多くがジャストミートしていない。「芯の手前で打つんです」。通常のバットの芯より、さらにグリップ寄り10cmぐらいの間で球をとらえる意識でいるのだという。

真芯で打つとラインドライブがかかりファウルになる確率が上がる。しかも打球に高さが出ない。だからあえて数ミリの感覚の差で打球を詰まらせる。スイングごとにバットのボール痕を見るのは、どこで打ったか再確認するためだ。ただ詰まりすぎるとバットは折れる。職人だからこそできる「芯外しアーチ」だ。

ハートも一級品だった。直前の6回には藤井投手の137km/h直球を右太ももに食らった。日本ハム稲葉選手に再び並ぶ現役最多の106死球。くっきり縫い目が残る激痛だったが、歯を食いしばり一塁に歩いた。続く小久保裕紀選手の遊ゴロでは二塁へ併殺封じのスライディング(結果は併殺)。痛みを押してのプレーでチームを鼓舞した。

渋面の続いた秋山幸二監督も松中選手の一撃で晴れやかになった。3番で起用したことを忘れるかのように「さすが4番のひと振り。今日はワンチャンスだったな」と称賛した。松中選手は7月30日の初戦ではダルビッシュ投手の内角球を本塁打と、日本ハムに対し敵地で5戦連発とめっぽう強い。

「もう今後はインコースに投げてこないでしょう。でも投げてきたら打ちますよ」。相手を震え上がらすようなセリフが出るのは自信の裏返しだ。直接対決で日本ハムと3ゲーム差。「ハム退治の使者」がいれば首位奪回はそう遠くない。
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(提供:西部日刊スポーツ新聞社

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