 |
3回裏無死一、三塁、3点本塁打を放った田上選手を出迎えるホークスナイン |
ホークス打線が「梅雨明け」だ。12安打8得点。いずれも後半戦最多の猛攻でロッテを一蹴。2カード連続負け越しで曇りがちだった秋山幸二監督の表情も、晴れ渡った。「打線がつながったね。先制点がうまく取れたし、2死からだったしね。(同点直後に)取り返したしね。ナイスゲームだったよ」。
強行布陣の打線が機能した。試合前、左ひじ痛を抱える松中信彦選手が、5月31日以来となる左翼守備を志願。下降線をたどるチームの危機的状況での主砲の決断だった。右肩痛などに悩む多村仁志選手をDHとして4試合ぶりにスタメン復帰させるためだ。前半戦をほうふつとさせる打線のつながりがよみがえった。
2回裏2死一、三塁で1番本多雄一選手が先制左前適時打。続く2番川崎宗則選手は中前タイムリーだ。4試合、29イニングぶりの適時打での得点だった。同点とされた直後の3回裏は小久保裕紀選手の死球をきっかけに、5番多村選手が中越え二塁打で好機を拡大。長谷川勇也選手の左前適時打の後、田上秀則選手が16試合ぶりの14号3ランを左翼席に運び去った。終わってみれば、先発全員出塁。後半戦開幕から6試合でチーム打率2割6厘と落ち込んでいたが、この日はまさにチーム力でもぎとった1勝だった。
前半戦に松田宣浩選手や多村選手を故障で欠いた際、秋山監督はジッと戦列復帰を待った。その際には「ケガを抱えていても、やらないといけないときはある。でも、今はそのときではない」と話していた。残り60試合を切り、首位日本ハム追走のためには、これ以上負けられない。だからこその松中選手のレフト出場直訴。左ひじ痛は完治していない松中選手は「(打球が)来るなと思っていたよ」と振り返りつつ、「多村がいるといないでは大違い」と話した。
日本ハムと4ゲーム差は変わらない。それでも、この日、九州北部が梅雨明けしたように、打線復調の光が差し込んだ。「助け合わないとな。それがチームだよ」と秋山監督。指揮官も復調に手応えを感じる勝利だったに違いない。