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6回表無死、小久保選手は左越えにソロ本塁打を放つ |
手負いの主将が大暴れだ。小久保裕紀内野手が3打数2安打1打点、3得点で西武を下した。チーム初安打を放った2回は単打で二塁から激走して先制のホームイン。6回にソロ本塁打を弾丸ライナーで決めると、8回は2死走者なしから四球を選んで2点を奪う攻撃につなげた。腰痛を抱えながら全試合出場するベテランが背中でナインを引っ張る全力プレーで残り3分の1となったペナント争いを制する。
最年長37歳は敵地の長い階段に息を切らしたが、顔は笑っていた。1勝1敗で迎えた試合を自らのバットで制した。「絶対に勝たないかん試合やったからな。本当に良かった」。荷物を詰めた重いバッグは腰にくるが「大丈夫や」と痛みを忘れていた。仲間の待つバスに足早に乗り込んだ。
先頭で迎えた2回だ。左翼線を破る二塁打で出塁すると1死から長谷川勇也選手の中前打で本塁を狙った。
小久保選手「いいスタートが切れた。投手の頭を越えたら何が何でもホームと思ってた。細川はぎりぎりまで突っ立ってブロックするから回り込んだ。」
滑り込むスペースを与えない嫌らしいブロックをかいくぐり、左手でベースの角をなめるようにタッチ。肩で息をする激走で先制点をもぎ取ってみせた。
6回には大沼投手の真ん中高めの直球を弾丸ライナーで左翼席へ運ぶ、4戦ぶりのソロ。「完ぺき。真っすぐに狙いを絞っていた。スギ(杉内俊哉投手)が頑張ってくれてるし、追加点をと思っていた」。今季12本塁打のうち杉内投手が先発した試合で5本。3試合勝ちがついてなかった左腕を後押しした。
この日でシーズン3分の2を消化。チームで1人全試合出場を続けるが、蓄積された疲労は鈍い腰痛を招いている。福岡から札幌、広島と移動した球宴中にさらに悪化。「同じ姿勢が続くから体の奥が痛くなった。ぎっくり腰に近い状態や」と周囲に漏らした。それでも松中信彦選手や多村仁志選手も負傷を抱える中、戦っている。主将として弱い姿を見せるわけにいかないのだ。
高い集中力でグラウンドに立ち続け、8回2死走者なしで代わったばかりの岩崎投手から四球を引き出した。「ああいうのが大事」とチームはここからダメ押しの2点。小久保選手が走って、打って、選んで、勝利を引き寄せた。10年ぶりにキャプテン制を復活させた秋山幸二監督も小久保主将の暴れっぷりに感心した。「小久保はよく打ってくれた。あの1発が効いたな。今は1つ1つ勝っていくこと。勝って終われたのが良かったよ」。後半戦2度目の6連戦を白星で締めくくった。シーズンは残り48試合で、ペナント争いは佳境を迎える。背番号9ががっちりチームを支えるはずだ。