2009/09/03 (木)

松中選手、ダメ押しの21号2ランを放つ

7回裏1死一塁、中越え2点本塁打を放ち、雄たけびを上げながら生還する松中選手
7回裏1死一塁、中越え2点本塁打を放ち、雄たけびを上げながら生還する松中選手
これがミラクル弾だ!右ひざ痛を抱える松中信彦選手が3-1の7回、勝負を決めるダメ押しの21号2ランを放った。前日1日に9試合ぶりのスタメン復帰を果たしたばかり。右足を引きずるなど万全でない中で、チームを勇気づける1発を放った。日本ハムも勝って首位との差は5.5ゲーム差のままだが、最後まで全力で戦い抜き、奇跡の逆転Vを狙う。

放物線の行方を見届け、うずく右ひざをかばいながら、よろめくように歩を踏み出した。試合を決定づける2ランアーチ。「自分でもびっくりした」。松中選手は全力を使い果たしたかのように、ぎこちない足取りでダイヤモンドを1周した。

歩くことさえままならない男が、左足1本で打球を運んだ。奇跡のような1発だ。3-1の7回1死一塁。オリックス近藤投手の浮いた直球を振り抜いた。苦痛に顔をゆがめたが、打球が飛び込んだ右中間スタンドからの喝采が痛みをやわらげた。続く多村選手も本塁打で続き、勝利を確実にした。

松中選手「先のことは考えず、今できることをしっかりやりたい。恐怖感があったらゲームには出られない。(右ひざが)壊れたら壊れたで、オフがあるから。」

最初に出場を直訴したのは、8月25日ロッテ戦前。首脳陣からストップをかけられ、前日1日にようやく先発復帰がかなった。まだスイングするたびに激痛が走る。5回には右翼線への二塁打で出塁したが、けん制で塁に戻れず、ヘッドスライディングもむなしくタッチアウト。少しでも次の塁に近づこうと、リードを大きく取った結果だった。

前日1日の試合前、2軍から1日限定で練習に参加していたルーキー立岡宗一郎選手に声をかけた。キャッチボールの相手を務めた後、同じ熊本出身の後輩へ助言した。「小手先に頼らず、今は基本だけやればいい。応用ばかりやっていては(プロで)15年ももたないから」。プロ13年目を迎えた今でも試合前には、ルーキー時代から指導を受ける立花義家打撃コーチとのスイングチェックを欠かさない。

右ひざを痛めて以降も「どうしたら(患部に)負担がかからないか、探りながらやっている」。基本さえやっておけば、万全でない時でも“応用”がきく。身をもって手本を示した。

現役時代に437本塁打を放った秋山幸二監督も「ノブヒコの1発がすごかったね。足が悪くても結果が残ってる。また何かつかんだのかな。新しい境地だね」と絶賛した。傷だらけでも頼もしい背番号3。かつては、2001年にバットを折りながらの本塁打、2005年には松坂投手(現レッドソックス)から3本塁打など、数々のミラクルを見せてきた。「今年は優勝したい。何としても勝ちたい」。奇跡を呼ぶ男がいれば、逆転Vだって夢じゃない。
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(提供:西部日刊スポーツ新聞社

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