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今季2勝目を挙げた先発の高橋秀投手 |
高橋秀聡投手が、1441日ぶりとなる先発白星を挙げた。オリックス打線を相手に5回2/3を投げ、2安打7奪三振1失点。ルーキーイヤーの2005年9月22日(ロッテ戦、千葉マリン)以来となる先発登板での2勝目に「だいぶ、久々っすね」と、5年目右腕は照れ笑いを浮かべた。
どうしても勝たなければならなかった。前回先発した8月25日のロッテ戦(千葉マリン)。味方が初回に先制、2回にも追加点を奪ってくれたが、2回までに2被弾し3失点。3回のマウンドには上がれず、チームは10失点で大敗した。この敗戦でスタートした先週1週間、チームは6試合でわずか1勝。「迷惑をかけてしまった」と右腕は、悪い流れをつくった責任を、1人で背負い込んでいた。
取り返すために選んだ作戦は「開き直り」だった。「ボールになってもしょうがない」と、これまでになかった思いきりで腕を振った。生命線のスライダーがキレ味を増した。4回表。カブレラ選手を見逃し三振、ローズ選手を遊飛、フェルナンデス選手を空振り三振。オリックスが誇る中軸をいずれもスライダーで3者凡退にきった。「前回は試合をつくろうとか考えてしまったけど(今回は)いけるところまでいこうと思った」。2回以降、マウンドを降りるまで1本のヒットも許さなかった。
前回の先発でKOされ「ファーム(2軍)に行くかと思った」と本音を話す。2軍降格はなかったものの、中継ぎ待機を命じられた。悔しさは当然ある。だが4月中旬から3ヶ月以上、必死に2軍でチャンスを待ったように、腐らない強さがある。そこにかけた首脳陣の期待に応えた。「気持ちの入ったいいピッチングだった」と高山郁夫投手コーチ。プロ通算4勝目の高橋秀投手の気迫は、1勝分以上の勢いをチームに与えた。