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今季初勝利を飾った大場投手(左)は馬原投手を笑顔で出迎える |
やっと笑うことができた。喜びと安どの思いが入り交じったような表情だった。大場翔太投手が昨年5月3日以来488日ぶりの白星となる、今季初勝利を手中にした。2番手として4回表から登板。4回1安打6三振で無失点。打線の逆転劇で今季未勝利のレッテルを、ついに剥がすことができた。
大場投手「素直にうれしいです。3点差だったのでチャンスはあると思っていた。野手の皆さんに盛り上げてもらった。田上さんにうまくリードしてもらった。」
お立ち台で、たどたどしく語ったコメントのほとんどが周囲に対する感謝のもの。それも、今季9度の先発登板で白星を挙げられなかったためかもしれない。ベンチ裏でも「監督、首脳陣の期待に応えたかった」と口にした。
この日はこれまでと、ひと味違う大場投手がいた。4回で費やした球数は50球。打たれた安打は、単打1本のみ。無駄な四球が失点に絡んでしまう姿は完全に封印。直球、スライダー、フォークのいずれも抜群のキレでオリックス打線をほんろう。秋山幸二監督も「ずっと中継ぎを経験しただけのことはあった。落ち着いていた。いい仕事だった」。打線の援護を引き出したのは、小気味いいリズムで投げ込んだからに違いない。
先発大隣憲司投手への感謝の白星にもなった。結果の出なかった春先。自らを資料室に呼んで配球など手ほどきしてくれたのが、自身の目前で投げていた左腕大隣投手だった。
ただ、この1勝が終わりではない。先発の座を、はく奪された悔しさは忘れてはいない。「チャンスがあれば先発で結果を出したい」。そのとき、心の底から笑う、と決めている。