 |
6回表無死満塁、田上選手の右犠飛で生還した松中選手 |
ついに2.5差だ!ホークスがロッテに逆転勝ちし、6連勝を飾った。右ひざ半月板損傷で強行出場する松中信彦選手が、3安打の猛打賞と引っ張った。満足に走れない状態ながら6回は三塁からタッチアップでホームを陥れる激走。首位日本ハムに2.5ゲーム差と迫り、9日の結果次第でホークスの自力優勝が復活する。
その姿にナインと左翼のタカ党の胸は熱くなった。1-3の6回無死満塁。田上秀則選手のライトへの飛球に三塁走者は当然と言わんばかりにスタート体勢に入った。右ひざ半月板損傷で満足に走れない松中選手だ。既に鎮痛剤は効かず、痛みは常態化していた。しかし、タッチアップした。
松中選手「アウトっぽいタイミング。捕手を突き飛ばそうと、いちかばちか、思い切り行こうと、体全体でいった。」
競歩のようなラン。内に秘めた勝利への執念だけが動力源だった。「時限爆弾」の右ひざを折り、左足から本塁へ滑り込んだ。右半身にべっとり土をつけ、歯を食いしばり立ち上がった。選手寿命を縮めるリスク覚悟で決めた、魂のスライディングで1点差。三塁ベンチのボルテージは一気に高まり、2死から本多雄一選手の同点適時打が飛び出した。
左足に重心を残す天才的な「軸足打法」で打席に立つ。8月21日の負傷後初となる猛打賞だが、今季松中選手が猛打賞をマークすれば7戦全勝。勝利のシンボルなのだ。思いをくんで、勝負手を打った秋山幸二監督も「点が入ってなかったからね。吉川がよく決めてくれた」と胸をなで下ろした。
首位と2.5ゲーム差に迫った。9日、2強の結果次第でホークスの自力優勝が復活する。手術が決定的な右ひざがいつまで持つのか分からない。球界屈指の技術と気力を持つ男は、傷だらけの体に残った力をチームのために絞り出す。