5回裏1死、左越えに1号ソロ本塁打を放つ吉川選手

吉川元浩内野手が値千金の同点弾を放った。0－1の5回1死から今季初本塁打。楽天ラズナー投手の内角高め直球に対し、両腕を折りたたんで振り抜いた。高々と放物線を描いた打球は左翼席前列へ。「詰まった割によく飛んでくれた」。プロ生活12年で通算2本目。本人もビックリの1発に、笑いをかみ殺すようにしてダイヤモンドを1周した。

家族にささげるアーチだ。「いい報告ができます」。5月中旬に4歳の長男が腎臓病を患い、約3ヶ月間の入院生活を強いられた。ようやく先月に退院を果たしたが、妻靖恵さんの実家に身を寄せている家族とは、今も離ればなれの生活を送っている。自宅での独り暮らしでは卵かけご飯が“主食”。さびしい毎日を過ごしていた。

4日の西武戦では、プロ初本塁打を放った昨年8月29日西武戦以来1年ぶりに、家族が観戦に訪れていた。だが、出番なしに終わり、娘に「パパが出なくてさみしい」と言われたという。この日も右投手が相手で「まさか使ってもらえるとは」と先発起用に驚いたが、ファームで通算100本塁打を突破した苦労人は見事にチャンスをものにした。「監督に感謝です」。恩返しの1発は、チームと家族に明るさをもたらした。