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9回裏1死満塁、G.G.佐藤選手を遊併殺に仕留め試合終了となり、田上選手(右)とタッチを交わす攝津投手 |
ルーキー攝津正投手が「新守護神」として無失点デビューを果たした。6-1の9回に登板。3安打で1死満塁のピンチを招いたが、G.G.佐藤選手を狙い通りの遊ゴロ併殺に打ち取って試合を締めた。
頭の中に浮かんだ答えは1つだった。「ゲッツーしか狙ってなかった」。1死満塁、カウント1-1。5点リードながら、長打が出れば流れが傾きかねない場面でも冷静さは失わない。背番号50の肉体は忠実に指令を実行した。いつも通り、砲丸投げのようなテークバックから141km/h直球を外角ギリギリへ。G.G.佐藤選手の打球は力なくショート川崎宗則選手のグラブに収まり、計算通りの併殺が完成。笑顔でハイタッチの輪に加わった。
「新守護神」の重圧も振り切った。ブルペンで投げ始めたのは7回裏。すでにファルケンボーグ投手と馬原孝浩投手がスタンバイした後だった。以前であれば必勝リレー「SBM」の先鋒(せんぽう)として、3人のうち最初に準備を始めていた。攝津投手自身は「特にいつもと変わらなかった」と振り返ったが、高山郁夫投手コーチは「少し力んでいたね」と指摘。自分でも気付かないうちに硬さが出ていた。
3安打を許して1死満塁の場面で、高山コーチがマウンドに向かった。「いつも通りいけ」。短い助言を受け、力みは完全になくなった。失点を許さず、チームに安心感をもたらした。
秋山幸二監督も「攝津クンが抑えてくれたよ」と、新たなクローザーの誕生を喜んだ。攝津投手はこれで17試合連続無失点。「それ(ゼロに抑える気持ち)は常にあります」。試合後、チームで一番最後にロッカーから出てくると、表情を引き締めたまま帰りのバスへ乗り込んだ。社会人時代には駅員の経験もある27歳が、奇跡の逆転Vへ向け「発車オーライ」の合図を出した。