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力投し7勝目を挙げた大隣投手 |
秋山ホークスが、大隣憲司投手の1カ月ぶりとなる復活白星で、V戦線に踏み止まった。不調のため先発はく奪の憂き目にあった左腕が、18日ぶりの先発マウンドで躍動。7回5安打6奪三振無失点で今季7勝目を挙げた。新守護神、ルーキー摂津正投手も異例の2回登板を無失点と完封リレーを完結。首位日本ハムに3・5ゲーム差と詰め、逆転Vの可能性を残した。
お立ち台で唇はギュッと結ばれ、マイク越しの声がブルブルと震えた。「ホッとしているのと…、やっと先発に戻れたうれしさが1番あります」。声の主は大隣投手だった。3日オリックス戦で3回降板。不振で中継ぎ降格を命じられ、信頼回復に燃えた左腕が1カ月ぶりの先発勝利をつかみ取った。遠回りした分、胸にズッシリときた。
先発はく奪中に4度中継ぎ登板した。踏み込み足をゆったり出し、軸足に体重を乗せるフォームに修正。好投の要因はその修正点より「気持ちの面が大きかった」と言い切った。攻める決意は初回からほとばしった。2安打で2死一、三塁として迎えた里崎選手にフルカウントから内角ひざ元へスライダーを決め、見逃し三振。「トナリ(大隣)の場合、内角を突こうとしても甘くなるから」。ミットを内角ボールゾーンに構えた田上秀則選手のリードに迷いなく腕を振り抜いた。
2回も連打で二、三塁とされたが、田中雅選手、早坂を力のある内角直球で打ち取った。四球を挟んで、2死満塁としても堀をボテボテの三ゴロ。序盤のピンチを切り抜けると波に乗った。「真っすぐが回を重ねるごとに良くなったし、チェンジアップが低めにいって効いたと思う。コントロールは(今季)1番良かった」。3回以降の5イニングで4度の3者凡退とロッテ打線を寄せ付けなかった。7回5安打、今季初の無失点で摂津投手にバトンを渡した。日本ハムが敗れ、ゲーム差は3・5差に寄り戻した。何より先発の軸が不足する中、大隣投手の復活は大きい。「1、2回はどうなるかと思ったよ。あそこを0点で抑えたのがね。しっかり立ち直って仕事をしてくれたよ」。秋山幸二監督も何度もうなずいた。今季7勝目を手にした大隣投手の言葉に責任感がにじむ。「先発で勝っていかないと。次が大事です。(今季は)連勝がないので。でも勝ち負けがつかなくてもいい投球をしたい」。本当の復活を告げるのは次回のマウンドだと分かっている。