 |
1回裏無死、先頭打者本塁打を放った松田選手(右)は、松中選手に手荒い祝福を受ける |
松田宣浩選手が先頭弾で勢いをつけたが、勝利にはつながらなかった。7月5日以来、今季3度目となる「1番三塁」でスタメン出場。初回、日本ハム先発八木投手の外角高めの直球を、強引に振り抜き右翼席へたたき込んだ。7号先制ソロ。「ちょっと強引でしたが思い切っていけた。打席に入ってしまえば何番だろうと関係ないです」。自身初の先頭打者アーチは、チーム14イニングぶりの得点となる貴重な一撃となった。
指揮官の思いがつまった「1番起用」に応えた。「松田が今(チームで)一番状態がいい」と試合前に秋山幸二監督は起用の意図を話していた。最近10試合で、40打数3安打と極度の不振に苦しんでいた本多雄一選手に代わっての指名だが、それだけではない。
ダイエーが初の日本一に輝いた99年。リーグ優勝を決めた日本ハム戦で、当時主将だった秋山監督は先頭打者アーチを放った。日本シリーズ第2戦でも同じく先頭弾、この年のシリーズでMVPを獲得した。当時の王監督は37歳のベテランを、要所で「1番」に起用。黄金期の西武時代で6度の日本一を経験していた主将は、その意味を理解しバットでそれに応えチームに初の栄冠をもたらした。
前日25日は、痛恨の延長12回ドロー。流れを変えるため、秋山監督は自身の現役時代をダブらせるように、長打力のある松田選手をリードオフマンに起用した。「何かあっての1番だと思うので、そういう意味ではよかった」と松田選手。未来の主砲候補は、初回に続き5回にも左中間へ二塁打。勢いに乗った打線は、9回までに11安打を放った。まさかの逆転負けを喫したが「1番松田」が、逆転Vへの最後のかすかな光となった。