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4回裏無死一塁、オーティズ選手は左越えに先制2点本塁打を放つ |
窮地の鷹を、助っ人がド派手な1発で生き返らせた。オーティズ選手が、0-0の4回裏に今季20号2ラン。陽気な男の先制弾は、前日まで2日連続で延長12回を戦い、4試合未勝利中と重苦しいムードのチームを一瞬で明るくした。オリックスに在籍した04年以来の20号到達。「自分の本塁打より、チームが勝てたことがうれしい」。心の底から5試合ぶりの白星を喜んだ。
パワーだけでなく、頭脳プレーでも勢いをつけた。6回の第3打席でも右翼へ二塁打。続く4番小久保裕紀選手への2球目だった。日本ハム先発の武田勝投手が、セットポジションから動きはじめようとする瞬間、オーティズ選手は三盗を試みた。あまりにも素早いスタートに意表を突かれた武田勝投手は、慌てて三塁へ送球。これが悪送球を誘い、貴重な3点目のホームを踏んだ。「(投球前に)投手は二塁を見たけど、僕のことを気にしてなかった。初球を見て行こうと決めた」と、いたずら少年のような笑顔を見せた。
並々ならぬ勝利への執念見せる。21日のロッテ戦だった。第2打席で平凡な三塁ゴロを放ったが、それでも一塁へ懸命に全力疾走。間一髪で内野安打とした。「常にベストのプレーをする。神様は見ててくれるから」と常々話す。ロッテに在籍した昨季「グラブ投げ事件」で周囲の度肝を抜いた。軽率なプレーとの批判もあった。「無意識のうちにやってしまった。何であんなことをしてしまったんだろう」とクラブハウスでひとり号泣し猛省した。「必死さ」が最大の武器だ。
6年ぶり日本一へ避けては通れないCSにも光明が見えた。助っ人は今季、日本ハム・ダルビッシュ投手から2発。左腕藤井投手、武田勝投手から1発ずつ放った。3勝を挙げられている西武岸投手からも2発、同じく4勝を献上している楽天永井投手からもアーチを放っている。チームが今季「天敵」とし、CSでの対戦が予想される投手をほぼ攻略していることは何とも心強い。「最後まで(リーグ優勝を)あきらめずに戦う」。残り6戦。オーティズ選手の全力プレーが、奇跡の逆転Vを呼ぶ。