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移動前練習を視察に訪れた王会長は秋山監督(左)らと話し込む |
王貞治球団会長が、打倒野村楽天へ猛ゲキを飛ばした。11日のシーズン最終戦楽天戦(Kスタ宮城)を控えた10日、王会長が本拠地・ヤフードームの全体練習視察に訪れ、クライマックスシリーズ(CS)制覇のポイントを指摘。「誰かがではなく、自分が決める気持ちを持たないといけない」と鼓舞した。終盤戦の低迷で3位に終わったチームは、16日開幕のCS第1ステージで2位楽天と戦う。
王会長と秋山幸二監督のきずなを象徴するようなシーンだった。本拠地での全体練習開始前。秋山監督が体をほぐすためフリー打撃を始めると、王会長がグラウンドに現れた。打撃ケージを挟んで、王会長が秋山監督のスイングを見守る。ダイエー時代の99、00年リーグ連覇時に見られた2ショットが、楽天とのCS前哨戦を目前に再現された。
2人の思いは打倒野村楽天で重なっている。王会長は9月21日に腹部手術を終えたばかり。手術のため絶食も行い、体も細くなるなど決して体調は万全ではない。それでも、1時間を超える練習視察で座ることなく、首脳陣や選手に声をかけ続けた。チームは先月下旬から4連敗を喫し、CS本拠地開催を逃してしまった。王会長も居ても立ってもいられなかったのだろう。帰り際、野太い声を響かせた。
王会長「(3位は)もう決まったことだから。何とか(11日の最終戦の)仙台で勢いをつけてね。(CSは)短期決戦と言っても、16日は16日の試合だけに集中すればいい。やはりヒーローが出ないとね。『誰かが決めるだろう』ではなく『自分が決める』という気持ちを持たないと。『おれがやるんだ』という思いを持ってやってほしい。」
徐々に言葉が力強さを増したのも、王会長の勝負師の本能に違いない。昨季チームは最下位に沈み、責任を取る格好で一線から退いた。バトンを渡した秋山監督を全面支援する姿勢は揺らぐことなく、猛烈なメッセージにつながった。