ムードメーカーに指名され、笑顔で打撃練習する森本選手

ホークスの主将、小久保裕紀選手が野村楽天への“刺客”として森本学選手を指名した。13日の練習前に行ったミーティングで、森本選手を「応援団長」に就任させることを発表。楽天野村監督のシダックス時代の教え子でもあるムードメーカーに、チームの盛り上げと敵情視察を託す。

小久保選手が打倒楽天へ秘策を打った。休日明けのこの日、練習前に行われたミーティング。「今日から『応援団長』に指名する」。主将が森本選手の名を挙げると「おめでとう」の声とともに、さっそく笑いが起きたという。ジョークや野次を飛ばして笑いを誘うムードメーカー。シーズン終盤にやや元気のなさが見えたベンチを盛り上げるため、白羽の矢が立てられた。

敵将への“刺客”としての役目もある。社会人野球のシダックス在籍時に野村監督がアドバイザーを務めていた縁があり、今でも楽天戦の試合前には必ず、相手ベンチへあいさつに出向く。教え子として「野村の考え」を知り尽くしているだけでなく、試合直前に敵ベンチのムードを視察するスパイ役？　としても最適といえそうだ。本職でも今季は内野のスーパーサブとして95試合に出場。9月29日の楽天戦では延長10回に勝ち越しの2点三塁打を放った。

森本選手自身もやる気満々だ。「団長就任です。若いヤツはしばくぐらいの勢いでやります」と、いたずらっぽい笑みを浮かべて意気込みを語った。すでにホークスでは「応援隊長」として、CMで人気の白い犬「お父さん」が活躍しているが「隊長はいるけど、団長は僕。僕の方が上です」とアピール？した。

小久保選手は「年齢も上だし、CS（クライマックスシリーズ）へ向けてベンチを盛り上げる人が欲しかった」と起用の理由を説明した。シーズン終盤で3位に転落した上に、主砲松中信彦選手が手術のため離脱するなど、重苦しい雰囲気を吹き飛ばす必要もあった。

ミーティングで小久保選手はさらに「（04年にプレーオフが始まって以来）一番犠牲になっているのがウチのチーム。3位からの今年はいい思いをしよう」「（第1ステージの）3試合では微調整がきかない。（15日までの）3日間でベストの状態にもっていこう」と選手たちに言い聞かせた。

目指すはもちろん日本一。森本選手は「ウチが勝つ気がする。何となくですけど」と早くもムードの変化を感じ取った。主将と応援団長が先頭に立って野村楽天を打ち破り、頂点への道を切り開く。