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4回表無死一、二塁、同点適時打を放ち一塁コーチとグータッチする小久保選手 |
鬼門で天敵を攻略だ。1点を追う4回、4番小久保裕紀選手が流れを呼び戻す同点打。得点圏打率を7割5分、打点を13打点とし。いずれもリーグトップをキープした。計3安打を放つなど手を緩めず、天敵だった楽天田中将大投手に3年ぶりに土をつけた。Kスタ宮城での3連戦勝ち越しも2年ぶり。借金も完済した秋山ホークスが、上昇気流に乗り始めた。
マー君に勝った。杜の都で勝った。秋山幸二監督の声も弾む。「ナイスゲームやな。連日のエース撃ち?自信になるだろう」。選手会長の川崎宗則選手も続いた。「ここで勝てたのが大きい」。誰もが興奮を隠せない。当然だ。楽天田中投手に黒星をつけたのは、07年8月17日以来。Kスタ宮城での3連戦勝ち越しも、08年9月28~30日以来と2年ぶり。4月初の連勝は、二重の喜びをもたらした。
原動力になったのは驚異のポイントゲッター小久保選手だ。1点ビハインドの4回表無死一、二塁。最高のシチュエーションで2打席目は回ってきた。田中投手の低め変化球をすくい、左前へ同点タイムリー。「フォークだと思う。粘った後なので相手はイヤだったんじゃないですか?取られたものをすぐに取り返せてよかった」。フルカウントから3球ファウルでしのいだ後に千金打。これで得点圏に走者を置いた場面では5打席連続安打、同打率は7割5分だ。13打点もリーグトップをひた走る。4番が無類の勝負強さで流れを引き戻しての逆転勝ちだ。
遠征出発前、悪天候で試合が中止になるケースも想定されていた。だが、小久保選手は「最後に残さないようにやっておいた方がいい」と話していた。Kスタ宮城は昨年CSで敗れた地であり、08年には王会長がユニホームを脱いだ場所でもある。ともにラストゲームの相手先発はマー君だった。シーズン終盤に試合を残せば、その嫌な思い出もぶり返される。この日3安打で猛打賞は2試合連続の今季4度目。この3連戦に集中力が高まっていた証しだ。
チームは開幕4カードを終え、6勝6敗。借金生活も5日間でピリオドを打った。明日6日からは地元福岡で首位ロッテとの3連戦が待っている。早くも主将の小久保選手は照準を切り替えた。「強いロッテにいい形で入れる。福岡で強いロッテをやっつけようや」。鬼門と言われたKスタ宮城で、岩隈投手をなぎ倒し、マー君もやっつけた。この勢いで、4連勝の好調ロッテも止めてみせる。