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5安打10奪三振で完封勝利を飾った杉内投手 |
これがエースだ!杉内俊哉投手が、今季初完封で3勝目を挙げた。日本ハム戦(ヤフードーム)に先発。3試合連続の2ケタ奪三振となる10奪三振で、自身2年ぶり3度目となる無四死球完封。2ケタ三振と無死四球完封を同時達成したのは自身初という、圧巻の内容だった。前日8日に完投勝利を飾った和田毅投手に続くエースの快投でチームは貯金を2とし、3月29日以来のAクラスに復帰した。
エースが、エースたるゆえんを見せつけた。9回表2死。杉内投手は、狙って三振を奪いにいった。日本ハム小谷野選手を2球で追い込むと、3球目は伝家の宝刀チェンジアップ。バットが空を切ると、左手でグラブをポンっとたたいた。「10個目だし、狙っていた」。捕手の山崎勝巳選手には「3球勝負も全然OK」と告げていたほど三振を意識していた。チーム今季初完封を挙げるだけでなく、2ケタ奪三振に無四死球のおまけまでつけてみせた。
完封も、狙っていた。前日8日には、同い年の和田投手が今季チーム初完投。「(和田は)すごい直球を投げてましたね。刺激になりましたよ」。6失点でKOされる夢を見ていたというが、現実には、開幕投手を務めたエースとしての責任感とプライドで乗り切った。08年5月10日、日本ハム戦以来の無四球完封。3試合連続となる2ケタ奪三振は通算38回を数え、川口和久(巨人)に並ぶプロ野球歴代10傑入りも果たした。
KO負けをも笑い飛ばす?明るい家庭が、背番号47を支えている。開幕1週間前、3月13日のオープン戦広島戦で9失点KOされた試合後。妻えりかさんに電話すると「おっ、9失点男!」と明るい声で冷やかされたという。「何かにつけて『9』の数字を出してくるんですよね」。その翌日からもう杉内投手の顔に暗さはなかった。1週間後の開幕日本ハム戦ではダルビッシュ投手を相手に勝利。前回登板の2日(楽天戦)も6回5失点降板したが、昨季から2試合続けて黒星を喫したことはない。家に帰れば、すぐに立ち直れるだけの“応援"が待っているからかもしれない。
過去3試合は三振が多い半面四球も多く7回が最長だった。「(10月で)30歳なんで。四球がないのはうれしい」。気合満々のエースの快投で連勝したチームは、貯金を2としAクラスに復帰した。それだけではない。2日連続の先発投手による完投で、登板過多だった救援陣を休養させることにも成功。秋山幸二監督も「ナイスゲームだったね。2回連チャンで完投してくれたから助かるよ」と満面の笑みを浮かべた。