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1回表1死満塁、左越えに満塁本塁打を放つ松田選手 |
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1回表1死満塁、左翼へ満塁本塁打を放ち、多村選手の祝福に「オー様ポーズ」で喜ぶ松田選手 |
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5回表、右越え2点本塁打を放つ長谷川選手 |
マッチが点火して、大阪でどんたく祭りだ! 松田宣浩選手のプロ初満塁アーチをきっかけに、3本塁打11得点の猛攻で大勝した。1回1死満塁で「マッチ」こと松田選手が京セラドーム左翼5階席に6号130メートル弾。オーティズ選手、長谷川勇也選手もアーチをかけるなど、チーム本塁打数は両リーグ単独トップ(42)に立った。5日に04年6月以来6年ぶりの3試合連続2ケタ得点を狙う強力打線が、首位ロッテを0・5ゲーム差でピタリ追走する。
どんたくでわく博多へ届けとばかりに、大阪でド派手な花火大会だ。火をつけたのは松田選手だ。1回、押し出し四球で先制した直後の満塁機。オリックス山本投手の初球、真ん中に来たスライダーを、思い切り振り抜いた。打球はグングン伸び、京セラドーム左翼最上段の5階席へ着弾。プロ初となる特大の6号グランドスラムで、お祭りの開演を告げた。
松田「みんながつないでくれたチャンスだったので、何とかランナーを返そうと思った。打った瞬間入ったと思った。満塁本塁打はプロ初、うれしい気持ちでいっぱい」。
打つべくして打った。前打者の多村仁志選手は、ストレートの押し出し四球。「(前打者が)四球だったので、カウントを取りにくると思ったので狙った」。ただでさえ積極性が一番の持ち味。狙いどおりの甘い球を打ち抜いた。今季、初球の打率は4割3分5厘(23打数10安打)で3本塁打。今季本塁打を放った5試合は、すべてチームが勝利。1回で試合は決まった。
前日3日も勝ち越し適時打を放つなど、今季は数字以上の活躍が目立つ。好調の要因はハングリー精神だ。昨オフ李ボム浩が加入。春季キャンプから、正三塁手を争ってきた。
外野兼任案も挙がった松田選手だったが、下馬評を覆し定位置を奪取。その裏には、育ってきた環境も影響している。野球をはじめてからずっと双子の兄・教明さん(26)の背中を追いかけてきた。兄と一緒に中京(岐阜)2年の夏に甲子園出場。高校までは、周囲の評価は常に兄が上だった。高校卒業時に兄は社会人野球の名門トヨタ自動車に進んだ。「いつかは兄を追い越す」。その思いだけを胸に亜大で実力を磨き、プロへの道をつかんだ。「負けたくない、という気持ちがあった方が気合は入りやすい」。李ボム浩の加入が、松田選手の潜在能力を引き出したことは間違いない。
松田選手が奏でた祭り囃子に乗って、4回には本塁打王独走中のオーティズ選手が12号3ラン。5回には長谷川選手が今季初アーチを右翼席にたたき込んだ。終わってみれば14安打で、2日連続の2ケタ得点。チーム本塁打数は42で、12球団単独トップに立った。連続試合本塁打も14となり、球団記録の19試合連続(81年7月1~22日)が視界に入る。「初回からいいリズムでね」と秋山幸二監督の笑みも止まらない。貯金も今季最多の8。GW最終日もド派手な勝ち方で、首位を狙う。